ボーディングスクールの教育 ―♯2 教師と生徒の関係
<火曜日のブログに続きます>
日本人生徒から見たボーディングスクールの先生たちは、親しみとオープンさが感じられる反面、「約束をすぐ忘れる」、「いい加減」、「大雑把」など、日本の教育文化における先生とは違ったマイナス的な傾向もあります。
日本人生徒が約束した時間に先生の所にゆくと、先生は不在ということは良くあります。また、学習に対する指示が綿密でなく、宿題や課題の評価も先生によって異なることも珍しくはありません。
試験の結果でほぼすべてが決まる日本の教育とくらべて、その曖昧さを受け入れられるようになるまで時間も忍耐も留学の初期には必要になります。
英語のハンディがある日本人留学生にとって、ボーディングスクール生活では、とかく良いころよりも悪いところのほうが目立ち、それに意識が集中してしまい、落ち込むということもほぼ留学生であれば、誰でも経験することでしょう。
これらのことは、ボーディングスクール一般にみられる傾向で、たとえば入学難易度の高い学校に行けは、先生が約束を忘れることはなく、生徒への評価の基準も明確、公平で、さらには、いつでもどこでも質問すれば、懇切丁寧に指導してくれるということではないのです。
留学当初は、受け入れがたいことばかりが身の回りで起こりますが、留学生たちの成長は、今までとは違う日常を「受け入れる」という意識改革からもたらされるといえます。それぞれの先生の特徴を把握し、うまく付き合っていくという生活の知恵が留学生のボーディングスクール生活を豊かなものにしていきます。先生、生徒、そして学校スタッフなど、寮生活を通じて、彼らを受け入れることで、留学生は自分の人間としての幅を大きく広げていくと考えられるでしょう。
ボーディングスクールで一年間ほど、留学生活をすれば、留学生たちは、先生が約束を守らなくても、評価基準が曖昧でも、課題、宿題の指示が曖昧でも、それに対処する方法を学びます。その対処の方法とは、正直に自分の思っていることを相手に伝えられるということです。
「先生も人間だ、間違えることもある」と考えるがゆえに、先生の非を丁寧に伝えて、新たな約束を取り付けるという作業が自然と身に着くといえます。評価が不服であれば、評価の理由を自ら先生と話し合う、そのような自立心こそ、高等教育に進む際に必要な主体性を形成する基本的姿勢となると思います。