○ 留学のための英語力 ― 習得までのプロセス4
<前日のブログに続きます>
ちょうど今の時期、6月上旬は北半球の留学生たちが帰国する時期です。一年間の勉強を終えて、晴れて日本で過ごせる彼らの表情は一応に明るく、元気もあります。もちろん、1年間帰国しなかったわけではないのですが、英語圏の夏休みは3か月もあり、夏休みを境にして学年も変わるので、思い切ったことがやりやすいわけです。
留学のための英語力というテーマで始めた今週のブログですが、留学が本人の人生にとり有効に働くためには、どうしても乗り越えなければならない困難があり、それをなるべく早く経験するということが私が言いたいことの要点です。
これは、日本型の初等、中等教育の現実とはマッチしないことだと思います。日本の場合は高校までで、アメリカでいうところのリベラルアート系の学習が終了してしまいます。読み書きの徹底した訓練が大学受験と密接に結び付き、それまでは読み方も書き方も受験対策という具体的な目先のゴールのために徹底して学びますが、大学になると、就職にむけての準備を始めなければなりません。
私のブログを毎日読んでいただいている皆さんには繰り返しで恐縮なのですが、高校までが暗記学習で、大学が就職準備という日本式システムはバブル経済の崩壊とともに一度リセットされなければならなかったものと私は認識しています。
要するに、日本が貧しくて、それが故に希望もあり、活力もあり、ほしいものもたくさんあった時代のシンプルでわかりやすい努力目標なのです。欧米という憧れの国々がまだ活気があり、経済的、社会的に日本が取り入れたいシステムや考え方がたくさんあった時のモデルなのです。
ところが、そのモデルの中核を担った国々がみな、モノ余り、人余り、金余りのデフレ状態になってしまっています。経済のグローバル化に押されて、日本も欧米も右肩上がりの経済成長は期待できません。それでも、子どもたちは旧システムの教育とその価値観のなかで大人になっていきます。
ゆたかで合理的な社会、便利でモノがあふれている社会では、当然のことながら、ハングリーな精神はなかなか育ちません。モノだけでなく、現代は情報までがただで瞬時に手に入る時代です。それでも、知っていることや覚えることを中心にした学習でいいのだろうかと私は思うのです。
つづく