★ボーディングスクール留学 母校(アルママター)について
アメリカボーディングスクールのアドミッションオフィススタッフの名刺で名前の後ろに二桁の数字がある人は、その学校の卒業生であり、数字は卒業年度を示しています。彼らに共通しているのは、母校(アルママター)に対する感謝と敬愛の気持ちです。そもそも、アルママターという聞きなれない英語はラテン語より由来し、アルマ=our、マタ―=motherという意味があるそうです。
アメリカ人であっても、10代半ばでわが家を離れ、寮生活をすることは決してやさしいことではないようです。入学の時点である程度の学習力、そして社会性があるとしても、一人で判断し自らその責任を負うということが当然とみなされる世界で生きていくことは、相当の勇気が必要です。「できるだろうか」という不安な気持ちと戦いながら、いわば新たなる人生のゼロスタートといえるのが、ボーディングスクールの初年度であると思います。
そこで学んだ一つひとつのことが、どれだけ彼らの人生に影響を与えるか、その集大成としてありがとうの気持ちをこめて、「今度は、私が母校にお返しをする番です」という表現が、名刺の数字には込められているようです。
ボーディングスクールからの訪問者があると、私はいろいろな話をしますが、とりわけ相手が話を終わろうとせず、私も相槌をうちながら時が経つのを忘れるのが教育論についてです。自らがその学校の卒業生の場合は特にその傾向が顕著です。彼らにとっては、The school is my life.であり、I value it very muchということになります。彼らはそこで、自分の人生を形作る価値観を学び、そのことに対する母校へのロイヤリティーの高さが、彼らのプライドでもあるのです。その精神があるから、彼らはチャレンジを恐れず、イノベーション(革新)を追及し、精神的なハングリーさを恒に保っています。
世界のどこでどのような仕事についても、ハングリー、チャレンジ、イノベーションで満たされていれば、これほどたくましいことはありません。人生をジャーニー(長い旅)と考え、行きつくところを設定しない、そのような起点となっているのが、ボーディングスクールスクールライフであるわけです。
ボーディングスクールの魅力のひとつは、母校が好きでたまらない人が学校を運営しているという点にあると思います。また、母校を卒業して、ビジネスで成功した人は、その起点にボーディングスクールを見出し、惜しみない寄付をするそうです。それが100年以上にわたって繰り返され、伝統となり、その結果生まれた言葉が、アルママターです。