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高校生の留学体験 ― 自分を知る手掛かりを見つける

留学生活のなかで、渡航して最初の半年間というのは、留学生にとって精神的にとても大変な時期です。今までに体験したことがないことばかりが、日常のなかでたて続けて起こります。だから価値もあり、それらの諸問題を自分自身で解決することで、留学がかけがえのない精神的財産となるわけです。
「あなたたちは(私のことを)全然わかってない」と勇気を振りしぼってホストマザーとシスターに言った高校留学生がいます。この「本音」が言えるまでに半年余りの時間を使わなければならないのが、中学、高校留学生の実際です。今風にいえば、「がちんこ」でぶつかり合うということになると思います。
これを言った本人は、「わかりあえるという自信があったからこそ『わかってない!』と自分のホストファミリーに言えた」と自己分析をして、自らを鼓舞して、限られた海外生活のなかで自分を向上させようとしています。若さの不思議というのは、このナイーブな心の動きと、素早い心理モード切り替えにあるのではないかと思います。
英語で言われっぱなしの自分に腹を立て、どうにかしてやろうと悩むが、その解決行動に移れない。結局、当たり障りのないにこやかな笑顔をいつも作り、ほとんどの答えは、Yeah、Yesになってしまっている自分のふがいなさ。日本人同士の人間関係であれば、悩みが一方通行でずっと継続することはなく、おおよそ相互に「気遣い」があり、お互いの関係の均衡を保てるのでしょうが、英語圏文化での人間関係は、そのような気遣いが極端に欠けています。
たとえ親子であっても、自分が確立しており、人としては対等であるという前提で話が進んでいく英語圏での生活に、10代の日本の子どもたちがいきなり何の精神的免疫もなく突入していくのですから、You don’t understand!の一言をいうことがどれだけ勇気のいることでしょう。その精神のボルテージの高さは日本では生涯かかっても、経験することはないでしょう。
若いエネルギーは一旦、抑圧から解放され、流れ出すとあとはとてもその勢いを増すと私は思います。
このひとことで本音をすなおに言うことが「問題ない」と気づいた日本からの留学生は、これを境にして、旺盛に友達作りに励み、スポーツ活動に参加し、自分のアイデンティティーを異文化のなかで確立していきます。ここまで来れば、ほっておいても、自分で勉強するようになります。また、クラスでの発言もできるようになります。
子どもたちの精神はそれほどに生きることに貪欲であり、どんな文化も吸収できるように作られていると私は信じています。自己主張を、悩み、苦しみ、不安、焦燥のなかから獲得したこの留学生の将来は明るいと思います。
自分を知る明らかな手掛かりを異文化の中で発見できたからです。

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