日本と英語圏教育の違い:英語の勉強
留学を考えている現在高校3年生の生徒から英語の勉強について相談を受けました。
私の仕事は小・中・高校生の留学が中心ですが、時たま、
「ご紹介」により一般学生の留学を引き受けることがあります。
彼女の悩みは「英語は好きだけど、(留学のための)勉強方法がわからない」
ということでした。
「日本の入試を目指す友達は、分厚い英語構文の本とか、文法書を熱心に
勉強している人が多いのですが、私はそれで英語が身につくとは思いません。
留学のためにどんなことをすればよいのですか。]
-そうだね。留学に試験範囲はない。英語を読み、理解し、英語で表現する力が
求められる。英語を読み作者の意図を理解することが必要だね。傍線の部分を
訳すとか、4択の文法問題は留学には必要ない。
「そうなんです。だからそのために何をやって良いのかわかりません。
単語を覚えても、それが本当に必要かどうかわからないから、
(長続きせず)結局、忘れてしまいます」
-私はまず英文を読むところからはじめる。留学したら、
徹底して読まされるからね。
そして、わからないところを中心に教える。だから、読んでくるという作業が
できないといけない。留学に行くと決めたら、自主性を持って欲しい。
「はい、頑張ってみます」
テスト範囲に対する学習に慣れている日本の生徒たちにとり、
留学のための学習は、その範囲が広大すぎてゴールを見失いがちです。
英語に対する意識を切り替えることがまず求められると思います。
すなわち、極端な表現をすれば、テストが終われば使い捨ての「英語学習」から、
終生道具として必要な「英語学習」への切り替えということになります。
では道具として必要な英語を理解するためにはどうしたらよいかということです。
私は何よりもまず文章にあたることを生徒たちに勧めています。
文章にあたるということは、そこに盛られている書き手の意図を
理解するということです。
その過程でかならず、理解できない箇所にあたります。
理解できない箇所をどんどん増やすことで、理解できないことへの傾向が
現れます。それを認識することで、初めて「文法をやらなくては」という
意識が芽生えるのではないでしょうか。
「やらなくては」と必死で思わない限り、
英語の勉強を自発的にするとは私には思えないのです。
私の経験では、日本の生徒たちは学校内でかなり英語ができていても、
英語構造の基本を理解していません。
それでもある程度無難に訳せるようにできているのです。
訳せれば、そこに盛られた意味を把握していなくても、点数が取れるという
無味乾燥さで「英語」を捉えるから結局つまらないのです。
日本語で文章を読んで、その作者に感動し、あるいは批判することで、
自分が浮き彫りにされる。
「汝自身を知る」ことが、深くなればなるほど、勉強という広大な原野への旅は
無味乾燥どころか、発見の連続になるはずです。
前述の生徒さんが次回、どんなメッセージを私に伝えてくれるか、
私は楽しみに待ちたいと思います。