グローバル時代の教育 若者の意識 ハングリー精神ってなに
「ハングリーさが今の若者には感じられない」というのが
定説になりつつありますが、私はこの定説を肯定したくはありません。
サッカー、ワールドカップで見せた日本選手の活躍は、
物理的に日本とは比較にならないほどハングリーであるはずの
北朝鮮選手よりも精神面ではハングリーであったと思います。
優勝候補のフランスが選手と監督のごたごたの中で、
予選リーグ敗退したのも、精神面でのハングリーさを欠いたからだと思います。
日本選手のハングリー精神は健在です。
私は10代の人たちがどうしたら彼らのような、勝ちたいという気持ち
(ハングリー精神)を培うことができるだろうかと考えます。
「何に勝つの」とすぐに質問が飛んできそうです。
「勝ちたいものは自分で決めるのだ」と私は言うでしょう。
「勝ちたいものは別にないし」
「スポーツ、趣味、勉強なんでもいいんだ」とは私は言いたくありません。
勝ちたいものがない若者はおそらく、今まで勝とうと思ったことがない。
そして、勝たなくても、すんなり暮らせて、極端に望まなければ、
それほど困らない現代を作り上げてきたのは、私の世代の人たちです。
「勝つ」というのはもちろん「勝ち組み、負け組み」の構図ではなく、
自分にであってほしいと思っています。
「だからー、自分に勝つってわけわかんない」と反論されそうですね。
「勝つっていうのは、たとえば本当にすきなことをすることだ。最後までね。」
「それって、なんで勝つなの」
「あきらめ、嫌悪、無関心、しらけムード、こんな気持ちで生きてゆきたいですか」
「しょうがないじゃん、おもしろくないんだから」
「おもしろき、こともなき世を、おもしろく、とは高杉晋作の辞世の句だ」
「それと勝つってどんな関係ですか」
「下の句が、住みなすものは、こころなりけりと続くよ。結局、おもしろいことも
おもしろくないことも自分次第ということじゃないかな」
「それと自分に勝つがどうゆう関係なの」
「生きていて、本気でおもしろいと思うことを一つくらい探せるでしょう」
「まあね。けっこう、音楽好きだし、スポーツは嫌いだけど」
「音楽があったね、音楽でしらけムードを打ち破ろう。そうすれば、自分を
もっと好きになれる。そうすれば、音楽については自分から
取り組めるし、好きでやっているから、しらけることもなかろう。
気に入らない自分に一つ勝ったじゃないか」
「なんだ、そんなこと。当たり前じゃん。」
「当たり前のことが見えない、気づかないのが人間だろう」
現代日本がグローバル化時代への適応に
いろいろな変革を求められるなかで、どうしたら私たち大人に与えられた
限りある時間を有効に使い、未来への時間をより多く持っている、
若者たちにつないでゆくかを私は考えます。
若者たちが享受している生活の豊かさ、便利さ、ものの豊富さなどは、
ギフテッド(gifted)ゆえ、生まれたときからそれがあった人たちに、
その状況に感謝しなさいということへの理解は難しいと思います。
むしろ、経験豊富な大人世代は、この豊かさが長くは続かないこと、
便利、豊富ということもその形がわからないならば、
日本はおろか、世界が危ないということを伝えるべきだと私は思っています。
続く