「アメリカ大好き」と留学生活
日本のインターナショナルスクールに通うある小学4年生が
ジュニアボーディングスクールのサマースクールに行きました。
結果は、すこぶる良好で本人は留学への意欲を燃やしたのですが、
「アメリカ大好き」の強烈なインパクトは、
日本批判に結びついてしまったようです。
本人は折に触れて、ジュニアボーディングスクールでの夏の体験を
懐かしむと同時に、長期留学への憧れを強くします。
そして、そのエネルギ-を保つために、あるいは更に燃焼させるために、
母国の生活がぼやけてしまうのでしょう。
親の庇護下にある子どもたちにもたらされる異文化ショックで
時々見られるこの現象は、留学を経験した人なら
おそらく誰しも一度は経験していることと思います。
異文化と付き合っていくための必然的な経験であるならば、
それを早期に受け入れ、しかるべき対策をもって、
乗り越えることが最良の策と思います。
この生徒の通っているインターナショナルスクールでは、
完全なアメリカ式教育が行われているのではなく、
おそらく日本式テスト対策なども組み込まれているので、
この生徒のアメリカでのジュニアボーディングスクールでの体験は、
より鮮烈だったと思います。
特にこの学校のサマーは、選択科目の多さは特筆に値し、
勉強、芸術、音楽、化学、社会、ITなど幅広い分野から、自分の好きな
こと、興味のあること、やりたいことなどができることが評判の学校です。
参加者も毎年100名を上回り、世界から留学生たちを集めます。
出発の成田空港では、半泣きであったその生徒も、
ひとりで体験した新しい世界での生活に、自信と確信が持てたのでしょう。
さて、本人のなかの日本批判をどのように解消するかですが、
おそらく、長期留学を始めれば、徐々に日本批判は収まると思います。
第一に、本人が家族に対する認識を新たにすること、
第二に、異文化での長期滞在で、その短所も多く発見するからです。
生きるということに、完全など到底ありません。
本人のなかで、一時期、ジュニアボーディングスクールでの勉強方法が
憧れに見えても、長い人生から考えれば、一瞬の出来事とも言えます。
この転機に家族の絆をより強固にするために、
留学を通じて親子のコミュニケーションが活性化されれば、
本人の日本人としてのアイデンティティーも確実なものとなると思います。