留学コンシェルジュ

イマドキの留学生 / カナダトロント大学サマープログラム同行を終えて (後半)

プログラムスタート当初は定員に満たないこともあったこのプログラムが気がつけばキャンセル待ちの生徒を大勢抱えるほどの大人気プログラムとなりました。このプログラムに携わる者として感慨深くもあり、プログラムを通して成長をする子供たち、自信を持つ子供たちが輩出されることの喜びを感じ始めていました。

また、プログラムの内容も回を重ねるごとに完成度が上がり、自信をもって薦められるプログラムになり、私たちもプログラムを成長させることの醍醐味を感じていた矢先、その変化は突然訪れました。そしてそれはやはりインターネットに関連する環境の変化だったのです。

それはなにか?

この流れは前半から読んでいただいている方には予想がついているかもしれません。

その答え、それは

スマートフォンです。

数年前まではネットに繋がることの利便性さえ特に感じていなかった同年代の子供たちが、数年後突然、当たり前のようにスマートフォンを持って留学に参加するようになりました。

スマホは決して悪いものではありません、しかしながら現場では多くの混乱が生じたのも事実です。授業の合間の休み時間、お昼休み、食事の時間、ありとあらゆるところで絶え間なくスマホをいじる姿を見て、とてももどかしく思ったものです。

「せっかく海外に来たのに」

留学、特に夏休みの短期留学においては英語の習得を主たる目的にしている場合が多いでしょう。しかしながら「英語の習得」という言葉には多くのプロセスが内包されています。

 

・孤独感の克服

・勇気を振り絞って英語で話しかけるまでの心の葛藤

・恥ずかしさを克服して発言する勇気

・ホームシックやカルチャーショックの克服

・英語が通じた瞬間の感動を体感

・不安だった事が不安でなくなる=自信を持ちはじめる

 

多くの子供たちが共通して体験する留学中の出来事を箇条書きにするだけでもこれだけあります。

このプロセスを全て体験するには3週間、4週間という期間は決して長いものではありません。そんな貴重な時間を子供たちはスマホと向き合う時間にただただ「浪費」しているように私には見えました。

特に、子供たちが最初に味わうはずの「孤独感の克服」というプロセスをスマホは簡単にスキップさせてしまう事が可能です。寂しければ簡単に日本の家族や友人と繋がり、日本語で話していれば、孤独をやり過ごす事が出来てしまいます。

数年前までは、海外に一人で渡航することを決意した子供たちには独特の覚悟と、参加者同士の「これからは自分だけでなんとかしなければいけないという」連帯感が生まれましたが、その世代の子供たちは日本とのつながりを保持したまま渡航しているように感じられました。

プログラム中のスマホの扱い方についてプログラムを運営するトロント大学とも真剣な議論を繰り広げたことは今でも記憶に新しい出来事です。

それに対する明確な答えが出ないまま、コロナ禍が始まり三年間は留学においてとても静かな年月が過ぎ去りました。トロント大学の対面のプログラムもこの期間は開催されずに寂しい日々を送ることになります。

そして、3年ぶりに開催となった2022年のトロント大学プログラム。私にとっても3年ぶりの定点観測。

結論から言うと、

私の心配は杞憂に終わりました。

スマホに依存しているように見える子供の数が著しく減っていました。ほぼいなかったと言っても良いかもしれません。もちろん子供たちはスマホを全員持っています。これは出国、帰国時にスマホの画面の表示が必須となるコロナ禍中の渡航においては必須のアイテムとなっているからです。

スマートフォンがメインのツールに見えた子供たちは世代が進むことで、生活のツールであり依存するべきものでは無くなったのかもしれません。これはまだ短期間での観測なので引き続き、私も子供たちの動向は見ていきたいと思いますが、これは日本人に限ったことではなく、他の国の生徒たちも皆一様にスマホをいじる姿が食堂でもコモンスペースにおいても見当たらなくなりました。

プログラムが始まって間もない頃、生活ルールの説明が大学スタッフからある際には、皆顔を上げてカウンセラーの話を聞いていました。そして、昔のように顔を突き合わせて会話を弾ませる生徒たちを見てとても嬉しくなりました。

スティーブ・ジョブスが最初のiPHONEを発表したのが2007年。

それから世界が様変わりしました。スマホをベースとした社会が世の中の在り方を変えてしまい、一時はその影響を留学においては悲観的に捉えることもありましたが、今年の生徒たちを見ていて、明らかにその活用方法が以前とは変わり、依存するべきものではなく、活用するべきものという考え方が子供たちに定着しているように見えて、少なからず明るい兆しが見えたように感じた今年のプログラムでした。

スマホのない社会は次の技術革新があるまではしばらく続きそうです。

それでも、デジタルネイティブと呼ばれるこの世代の子供たちが、デジタルに操られているように見える時期から脱却し、自らが目的を持って活用する世代として進化する可能性を目の当たりにした今年のプログラムだったと思います。

このプログラムにはいつも留学コンサルタントとしての大事な発見が隠されています。同じ世代の子供たちでも、世代が違えば、留学の仕方も変わってくるのは当然のことです。コロナ後の定点観測において、デジタルとの付き合い方とという視点において明るい兆しが見えたことは嬉しい限りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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