ボーディングスクールのスポーツ教育
USオープンテニスで錦織圭選手がベスト8に進み、
マリン・チリッチ選手をフルセットの末、下してベスト4が決定しました。
どちらか勝利してもおかしくない試合でした。
彼の試合を早朝のテレビ中継で観戦しながら、スポーツに力を入れている
ボーディングスクールの教育に対するあるひらめきを感じました。
ボーディングスクールのスポーツについての基本的方針を整理します。
●体育授業(Physical Education)はボーディングスクールにはない
●スポーツは放課後の必須活動、日本のような任意スポーツクラブ活動はない
●1学年間3シーズン制、秋季、冬期、春季で異なるスポーツ行う
●補欠選手はなく、生徒は自分の技量に応じて、試合を経験する
●3シーズンのうち、1シーズンは芸術科目などへの代替えが可能
●週に2回は州単位、地域単位での対抗試合が、ホーム、アウェイで行われる
日本で中等教育のスポーツといえば、高校野球が頭に浮かびますが、
アメリカでは全国規模の熱狂的スポーツ競技は、
ボーディングスクール中学、高校レベルではありません。
その代わりに、前述したようにローカルな試合が1学年間を通じて、
ホームとアウェイで他のボーディングスクール、あるいは通いの私立学校と
頻繁に試合を行います。
一般的に試合日は、水曜と土曜の午後に行われることが多く、
そのために、試合日の授業は半日になります。
人気のあるバスケット、アメリカンフットボール、野球、テニスなどは、
参加希望生徒が多いので、参加生徒には試技が行われ、
本人が入るべきチーム(一軍、二軍など)が決定されます。
従って、ボーディングスクールのスポーツ活動には、万年補欠、
球拾い、先輩の雑用係など、試合に出場ができない生徒はいません。
ボーディングスクールでは、スポーツを通じて、生徒たちに
試合に勝つための作戦計画、勝ち負けの態度、相手チームの尊重、
協調性、達成感、努力の重要性などを教えます。
ボーディングスクールの生徒たちは、それぞれの生徒がそれぞれの
立場でスポーツを通じて、自分を成長させる精神を学びます。
スポーツのプロ選手として、人生を歩む生徒は、実際には極めて稀です。
勝ちを重ねて頂点に立つことよりも、勝ちもあれば負けもあり、
そのなかで、買って奢らず、負けて腐らずというような精神を身につけるほうが、
スポーツを通じての教育には不可欠のように思います。
ボーディングスクールのスポーツ教育は実によく生徒を成長させ、
母校に対して愛着の念を養うことに貢献していると思います。