日曜コラム アメリカの風景―マクドナルド、ボーディングスクール待合
今週はワシントンDCからスタートして、ペンシルバニア州、
ニューヨーク州、マサチューセッツ州と1000キロほどを
ドライブする学校訪問の旅でした。
初日、緊張気味で始まるドライブも終わってみると
あっという間というのが学校訪問の旅の特徴でもあります。
昼食は移動の途中、ファーストフードで軽く済ませることが多いのですが、
いつもならば、それほど気にも留めず、イート・アンド・ゴーの
マクドナルドですが、今回、そこで見た風景は日本のマクドとは
全く違った風景が故に、印象に残っています。
アメリカの東海岸、ニューイングランド地方の田舎のマクドですが、
男性の老人グループと、女性の老人グループがおのおの注文したものを
食べながら飲みながら、世間話にふけっているのです。
日本においては、病院の待合室で展開されるような風景が、
アメリカではマクドナルドで起こっているというのが、
私にとって特異な風景でした。
私たちがマクドに入る前からグループは陣取っていて、
私たちが出る時も、みな楽しそうに世間話をしています。
マクドだけではなく、昼間に田舎の小さなレストランに行くと、
おおよそそこで食事をしているのは、白人の老人の人たちです。
場所は変わって、マサチューセッツ州にあるテンスクールズの待合室。
その風景は、ずっしりと、とっても重く感じられます。
季節がら、そこには7-8組の家族がいましたが、半分以上がアジア系。
朝食時、ホテルで見かけた家族が、私たちの後から、
待合室に入ってきたのには驚きました。
日本人のご家族でありそうな雰囲気でした。
深閑と静まり返ったボーディングスクールの待合室。
マホガニー色の重厚で荘厳ともいえるいかにも歴史を感じさせるつくり。
テニスコートの広さくらいある待合室で男子は、ほぼみな、
紺ブレにカーキパンツ、チェックのネクタイ姿、
女子は、バリエーションはあるもののみなシックな色のワンピース姿、
「あそこにいるだけで肩がこっちゃう」と言ったのは、今回私が、
同行した留学希望の13歳の志願者でした。
皆かしこそうな家族連れなのです。
テンスクールズはランク3-4のボーディングスクールに比較して、
私は頻繁にくるわけではありません。
それ故に、今回の待合室の風景は、私をして、自然と背筋を伸ばすような
雰囲気がありました。
志願者とアドミッションスタッフとの面接が終わり、
親との面談となったとき、私はDのマークのついた一番大きな
一人掛けのソファーに案内されました。
男性はそこに座るのがこの学校のしきたりだそうです。
アメリカには100回を超える回数訪問していますが、
こんな習慣に遭遇したのは、初めてでした。
マクドの風景とテンスクールズの風景、何の関連もないのですが、
私のこころのなかでは、旅の印象として、忘れられない風景が
ペアになって記憶されそうです。