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中学・高校留学―危機感の喪失と創出

<前日のブログに続きます>
教育に社会や経済の事情が反映されることが、当然であると考えるか、あるいは教育がそれらとほぼ無関係に「理想的な人間」を作るためにあるべきなのかという問いに私たちはどのように答えるでしょうか。これからの時代は、その質問の解答を探すことも教育の重要な範疇に含まれるのではないかと思うのです。
中等教育までで、人間的基礎を確立し、高等教育機関では、それまでに獲得した知識と自分の特性を生かして自分の道を歩み出すなどと理想的なことはいくらでも言えますが、現実はそのようにはいきません。特に、今の豊かになった日本、便利になった日本に住んでいれば、教育を受ける側の危機感がぼやけて、あるいは喪失して、中等教育課程で学ぶ人文系、理科系の学習内容を受け身的にこなすことになっても仕方がないのかもしれません。また、そのような環境にあって「本人のやる気がすべて」などと漠然とした期待をかけられても、当の生徒は本音として迷惑千万ということになります。
物理的に国民の平均的生活内容が日本という国では貧しいわけではなく、うかうかしていれば、他の国から侵略されるという危機感もなく、四季と自然は豊かで、おいしいものが安価で手に入り、厳寒、猛暑、天変地異が多発するとはいえ、祖国を捨てるような状況とはいえません。
平和ボケなどと揶揄されることもある日本という国ですが、この状態がいつまで続くということに明確な解答が出せる人はいないと思います。日本だけではなく、先進国はすべて、戦後の経済システムが限界に近づきつつあることは、ここ数年間の世界での経済的出来事をみれば、誰でも理解できることであると思います。
それでも、教育はゆるぎなく、良い幼稚園から始まってとりあえず良い大学まで完結すれば、あとはどうにかなると考えられますか。私にはそのこと自体がグローバル社会、時代に逆行し、とても危険な選択であると私は思います。私たちがこれからの子どもたちに伝えていかなければならないのは、世界を席巻しつつある、危機的な経済状態の中で、生き抜くための技術と考え方そして、その実践方法であると思います。
日本では、今まで世界のトップを占めていた、基幹産業が他国の追従を許し、あっという間に追い越されてしまう。これが続けば、どのような会社に入ったとしても、生涯の生活の保証などとうていできまません。それでは、安定した公務員がいいという選択肢があるのであれば、新たな国づくりを、役人となった頭の良い連中はどう考えるのでしょうか。
大小にかかわらず、新たな価値観を構築できるような危機感を幼少のうちから子どもに伝えていくことが、これからの教育であり、親の役割がそのためにとても大きいと私は思います。

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