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日曜コラム 弘法の筆

弘法は筆をえらばずといわれています。
明晰な頭脳をもって日本の仏教の基礎を作り、今に語り継がれ、
これからも私たち日本人が忘れることがない空海は、
どのような筆でもほんとうにオーケーだったのでしょうか。
達筆でも知られている彼ですが、
どんな筆でも素晴らしい書を書いたのでしょうか。
私は字を書くのが上手ではありません。
しかし、上手でありたいといつも思っています。
時々、とても達筆な申込書を見ると、反射的にどなたが書いたのか、
どこで字を習ったのかなど、お節介なことかもしれませんが、
聞かずにはいられません。
いつも印刷した字ばかり見ているので、人の書いた字に惹かれます。
おおよそ、感動的に字の上手なのは、お母さんであって、
お父さんではありません。
私が感嘆すると、みなさらっと流されてしまいます。
それが、とっても日本人だと思います。
英語圏の人々であれば、どの国でも間違えなく、
Thank you. You know I like writing with ・・・と始まると思います。
少なくとも、誉めたことに対して、Noとはいわない。謙遜はしません。
私は年とともに、筆にこだわるようになりました。
いつもデスクで使う筆、外出の時に使う筆は分けています。
机上の筆は、ある生徒の叔母にあたる人から頂いたもので、
五年以上使っています。ボールペンなのですが、何度かインクも替えました。
出張でおもに使っているのは、ある学校のノベリティー商品として
もらったボールペンですが、机上のペンと同じリフィルの芯を使っています。
スイスの学校から来た理事長さんが太くて書きよさそうなペンを
使っていました。
今度会った時は、どこ製のものか聞いてみようと思っていたのですが、
その次に彼に会ったら、透きとおったプラスチック製の
どこにでもあるようなボールペンを理事長さんは使っていました。
数日前、一ツ橋大学の先生で、Western Michigan Universityの日本事務局を
担当されている阿部仁さんのセミナーがあり、参加したところ、
学校宣伝用のボールペンをいただきました。
大量生産されるプラスチック製のボールペンには
あまり興味を持てないのですが、書いてみたらとっても書き心地がいい。
グリップのところに半透明のゴムが捲いてあって、握り心地もいい。
スラスラと流れるように書ける、これは絶対日本製だと思いました。
机上のいただきものは外国製です。リフィルもその会社のものになります。
日本製と比べると、油性なので書き出しはちょっと引っかかり、そして
インクがかすみます。すらすらとフットワークならぬハンドワークを感じるまで、
ある程度の時間を要します。
弘法は筆をえらばずの境地には、まだまだ到達できそうにありません。
でも、筆にはこだわり続けます。
一所懸命に自分の手で何かを書いている時は、とても落ち着くからです。
そして何で書くか、もちろんこころで書くなどと言いたいのですが、
それができるまでには、まだまだ月日が必要です。
だから、仕事も続けられます。

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