ニュージーランド一年留学 - 履修科目と授業の実際
先週、土曜日のブログに続き、ニュージーランドに
一年間留学した生徒の履修科目とその実際をご紹介したいと思います。
履修している科目は、Tourism(観光事業に関する学習)、Childcare(育児・保育に関する学習)、ESOL(留学生のための英語学習)、Textile(織物・羊毛等の学習)、Outdoor Education(野外活動と学習)、そして金曜日はダンスをオプションで習うことになっています。この選択科目はあくまでも英語に相当なハンディのある日本からの留学生のために組まれたカリキュラムです。
日本の高校生の一年間の留学は、休学あるいは留年することなしに制度として認められています。この制度によって、高校時代、一年間留学生が増えたというわけではありませんが、これからの時代より活用できる制度であると思います。上記のカリキュラムを見る限り、日本の覚え込む勉強に特化した日常からドラスティックに変身できる可能性があるように思えます。そして、それをどのように留学生が受け止めるかで、一年間の留学がとても意義あるものに思えます。
ニュージーランドの教育制度、特に高校三年間の特徴は、その選択幅の広さにあると思います。日本のように工業高校、商業高校、普通科という区別はニュージーランドの高校には一切ありません。どんな学校にも、上記のような職業訓練に特化したようなクラスがあるのです。進学校であってもなくてもあります。
ある進学実績の高い統合学校(私立と公立の中間の学校)を訪問した時にも、立派な木工室、金属加工室があるので、私は留学生を担当する先生に「なぜ、進学実績の高いあなたの学校で、このような本格的な職業訓練施設があるのですか」と質問すると、
「働くことは、子どもが大人になるための基本です。その技術を学ぶことは高校生にとって必要なことです」という答えが返ってきました。
ニュージーランドは基本的に家畜を中心とした農業国です。大学に進学する生徒に対しても、自然の中で働く、自然を知るということを当たり前のこととして教えているその教育姿勢が私はとても好きです。
さて、上記の科目のなかでOutdoor Educationでのマウンテンバイクによるキャンプに参加した日本からの一年留学生は、その体験を「もう、泣きたくなるくらい辛い」と表現しました。雨風の中でのマウンテンバイクの走行で、体中が泥んこになり、一日中走り続けて、夜は寝袋でキャンプ。日本であれば考えられないむき出しの自然のなかでの容赦ない「生活体験」に留学生は衝撃を受けます。日本では考えられないスパルタ教育ですそれを当たり前のことと受け入れている、現地の生徒たち。果たして、人生の幸せとは、生きがいとはと、日本からの留学生たちは考えさせられるわけです。
「話しかけてくれる親切な人もいます」とその生徒は、私に教えてくれました。最初に話を聞いた日本からの留学生は、「こちらから話しかけなければ、友だちは作れない」と言っていたことからすると、だいぶ同じ学校でも事情が違うことになります。
すでに読者の皆さんはお気づきと思いますが、私はこの二人の個性の違いが生むそれぞれの生き方の違いと思います。
つづく