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留学物語-父は東大ぼくはニュージーランドその12 学校生活

(その11 7月2日掲載)
ニュージーランドの高校の先生は日本に比べてのんびりしていた。多いクラスでも生徒数は20名ほど、普通は10名程度などがぼくにとっては、アメリカでの小学校時代が思い出されて懐かしかった。ニュージーランドの高校ではクラスに理系、文系、普通、特進などの区別はない。工業、商業、国際という名のついた高校もない。人口が400万人程度で、広さが本州以上という物理的要因もあるかもしれないが、先生は一人ひとりの生徒と対面する。木工、金属加工、デザイン、フードテクノロジー(食べ物に関する総合学習)、ホスピタリティー(サービス全般を学ぶ)など、日本で言えば専門学校で学ぶ内容が高校のカリキュラムに当たり前に組み込まれている。
ニュージーランド留学2年目、Year13の最終学年にぼくはWoodworkをとった。日本で受験を目指す生徒が最終学年に木工クラスを取るなどありえないことだ。となりのクラスはMetal Workという金属加工のクラスだった。そのクラスに車のマフラーを作っている生徒がいた。実用になるかならないかは別として、それぞれの生徒の作品を先生が評価していた。ニュージーランドの先生は批判的な評価はしない。作品が期日までに完成すれば、まず誉める。そして、さらなるアドバイスや意見を付け加える。ぼくは翌年、日本の大学を受験することになるのだが、日本の受験生たちが膨大な暗記学習の繰り返しに必死で取り組んでいるときに木工授業で自分の作品に取り組んでいた。暗記した知識をテストされることは何もないが、独創的なアイデアを生み出す苦労をしていた。
古代のローマ文化を学習するClassic Studiesも日本の高校の歴史授業とは全く違っていた。ローマ文化や出来事の暗記事項は重要視されなかった。このクラスのテーマはローマ建築に関する学習だった。先生がその特徴と素晴らしさ、多様さ、堅牢さなど現代に応用できる点を中心に学習し、最後はそれぞれの生徒が授業で得た知識をもとに自らのローマ建築の設計をおこないモデルを作った。筆記の試験はもちろんあったが、それだけで評価しないスタイルがとても好きだった。
留学生のための英語クラスESOLについては、留学生の必須科目だったが、他の留学生の英語レベルと自分のものが違いすぎていたので、TOEFL対策を自習した。自習だったが評価はついた。実は自習はぼくが勝ち取ったものだ。あまりにもレベルの違う学生と英語の勉強をするのは当然だが意味がない。その不合理を留学生たんとうの先生に言ったところ、必須をたてに聞き入れてくれなかった。ぼくは校長とアポイントメントをとって直訴した。校長はぼくの話を聞いてくれた。かれはジェントルマンだと思った。そして、筋を通して話せばわかるニュージーランドの学校がいよいよ好きになった。また校長との交渉、そして認められたということが自分への大きな自信になっていった。(つづく)

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