塾とボーディングスクール その1
英語圏には日本の塾のような教育機関はありません。
塾は一般に英語でCram Schoolと呼ばれていますが、(知識を)
詰め込む学校というこの訳語を果たして英語圏の人々が、
正確に理解するかどうか私は疑問です。
私の知る限り、日本をある程度知っている人はJYUKUの概念を
理解しています。
英語圏の国々ではなぜ塾がないのでしょうか。
塾の代わりに何がどのように生徒たちの学習をバックアップ
しているのでしょう。
イギリスとニュージーランド、オーストラリアの場合は、
中等教育機関そのものが塾であるといえると思います。
高校の最後の2年間は自分の目標とする大学が要求する
受験科目のみに特化して、「学校」で勉強するわけですから、
塾で補強する必要がないのです。
ニュージーランド、オーストラリアもイギリス教育を基本的に
踏襲していますから、高校3年間の学習はほとんどが自己選択です。
学校から強制されず、大学に行くための学習に特化できるから、
塾が必要ないのでしょう。
アメリカの教育制度はイギリスとはまったく異なります。
高校4年間(日本の中3がアメリカの高1となり高4で卒業)でとるべき
単位が決められており、各学年ごとに必須科目があります。
その概念を日本も戦後、教育制度として導入しています。
同じような単位制であるにもかかわらず、アメリカには塾文化がありません。
プリンストンレビュー、カプランといったSAT(アメリカ版センター試験)
補習学校はありますが、そこで学ぶ生徒数は日本の塾生数とは
比較にならないような少なさだと思います。
日本の24倍ほどの広さの国にこの2社のみが予備校的展開を
しているというのもおかしな話です。
アメリカではボーディングスクールそのものが塾なのだと思います。
オックスフォードアカデミーやトーマスジェファソンスクールのように
総生徒数、50-60人で健全に運営され、良好な結果を出している学校から、
テンスクールズのように、寮生徒数が500名以上で、そもそも
イアビーリーグ進学予備校として100年以上の歴史ある学校まで、
300校を超えるバリエーションでアメリカ全土のみならず、
世界から生徒を集めて、独自の教育を行っています。
アート系に特化して高校を卒業したければ、
インターローケン、ウォールナットヒル、アディルワイルドなどの
音楽、絵画、演劇、ダンス、写真、陶芸、映画、デザインなどを
午後の時間を使って追求できる学校があります。
もちろん。上記3校だけでなく、どんなボーディングスクールでも、
芸術とスポーツはとても大切にします。
つづく