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日曜コラム 日本の受験と科挙

日本の受験の大本をたどると、
中国の科挙に行きつくのではないだろうかと思うことがあります。
科挙とは、中国で隋の時代(7世紀ころ)から清(20世紀)まで、
なんと1000年以上にわたって行われた官僚登用試験です。
その暗記の膨大さといったら数百ページの本を数十冊以上に
なることでしょう。
しかし、基本的には誰でもそれを受けることが出来るわけですから、
今から1400年も前に、役人の登用にそれだけの平等性、
実力主義があったことは、画期的ではなかったかと思います。
日本は古くより、多くの文化や制度を中国より輸入しました。
そしてこの国に合わせて使ってきました。
司馬遼太郎さん曰く、「日本では、文化は外からやって来るものと思われている」
という歴史の洞察には、なるほどと思う人も多いと思います。
もちろん、中国の制度、文化習慣で受け入れないものもありました。
中国歴代王朝の宦官制度は、日本のどの時代にも見られないものです。
さて、日本の受験ですが、多くの人が受験のためだけの受験勉強に
疑問を持っていることは間違えありません。
試験日を目指して、徹底した準備はしますが、それが終わってしまえば、
おおよそのことは忘れ去れてしまいます。
それでも、その後の学校生活に支障が出ることはありません。
「なぜ暗記しなければいけない」ということについては、
あまり追求されることなく、今でも試験結果が合否のおおよそを
占めるという考え方は変わっていないと思います。
日本の受験に対比してボーディングスクールおよび大学の受験は、
試験は誰でも努力をすれば、日本の受験よりもより簡単に
高得点を取ることが可能ではないかと思いますが、
その反面、試験結果だけで合否が判定されることは決してありません。
今、情報を獲得する手段、その量と質は、日進月歩であり、
これからも、それは進化し続けることでしょう。
それに対して、欧米の文化はいち早く初等、中等教育レベルで
惜しみなくそのテクノロジーと取り入れて、活用しているのですが、
日本では、その歩みは欧米と較ぶべくもありません。
私たちの試験に対する概念の中には、科挙の伝統が根強く
息づいているのではないでしょうか。
その現象は、今のテレビでも垣間見られるように思います。
毎日、夜のゴールデンアワーには、クイズ番組が必ずあります。
その内容は、単に知っているかどうかを問うものです。
その難易度が上がれば上がるほど、視聴者は、
回答者の知識の広さと深さに感心するという仕組みです。
暗記せずとも、現代では年齢にかかわらず、その解答は
誰でも簡単に入手することが出来ます。
この伝統が受験界で消えてなくなるには相当の年月がかかるかもしれません。

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