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教育の既成概念を破る-ボーディングスクール

ボーディングスクールのポータルサイト、ボーディングスクールレビューによると、そこにリストされている324校の平均創立年は1910年とあります。最も創立年が古いボーディングスクールは、アンドーバー(Phillips Academy, Andover)で1778年です。
古さと伝統だけでは、現代にあって組織が生き残っていけないなかで、ボーディングスクールの教育を支えているのは、教育という既成概念にとらわれない斬新性ではないかと思います。その斬新性を生み出しているのは、基本的には授業といえます。そして授業を支えているのは、それを行う先生たちであり、学校を運営する経営陣です。
中等教育において教える内容の規制が日本よりはるかに少ないアメリカでは、先生の手腕によって、生徒の実績に大きく影響します。覚えるだけであれば、先生の技量や教育への情熱はそれほど問われません。日本の場合、教科書の内容は絶対であり、そこに盛られている内容に沿って授業を展開すれば、授業は問題なく進みますが、ボーディングスクールでは教科書という便利な教育ツールを先生は日本ほどに重視はしません。社会科、歴史の教科書や理科、生物の教科書などは3-4センチもある分厚い本ですが、それを最初から終わりまで徹底して覚えるということは、ボーディングスクールでは行われてはいません。
アメリカのボーディングスクールで生き残れなかった学校も多くあります。第二次世界大戦後、退役軍人によって、60校を超える高校としてのミリタリースクールが設立されましたが、現在、残っている中学、高校としての機能を持つミリタリースクールはボーディングスクールレビューを参照すると20校です。
変革の成功例として異彩を放っているのが、インディアナ州にあるカルバーアカデミー(Culver Academies)です。このボーディングスクールは、以前にはカルバーミリタリーアカデミーというミリタリー系の学校でした。20年ほど前になりますが、この学校を訪問した時、制服を着た生徒たちは圧倒的に男子が多く、彼らはみな礼儀正しく、学校での躾の行き届いた青年たちでした。
それからしばらくして、この学校の呼称からミリタリーが削除されました。男子のミリタリー調の制服は健在ですが、生徒の日常生活は節度と礼儀作法などを重んじて、なおかつ学力向上と女子生徒の増加を目指し、結果として9年生から12年生の現在の総生徒数は814名、そのうち寮生が747名です。この数字はテンスクールズのアンドーバー、エクセターに続き多い寮生数であり、この学校の生徒の学業、社会的な充実度を示しているといえると思います。
ミリタリーの良いところを残しつつも、グローバル教育のニーズを冷静に見つめて、その成果を上げるカルバーアカデミーは、寄付金貯蓄額も394ミリオンドル(約450億円)と驚異的な金額です。
カルバーアカデミーにアメリカボーディングスクールの既成概念にとらわれない教育の実践を痛感させられます。

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