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日曜コラム-日本の文化としての剣道

日本の武道、柔道、空手は世界に進出しました。
柔道は、オリンピックの正式種目として定着していますし、
空手も近い将来、そのようになるかもしれません。
スイスで空手道場を見学したことがありますが、技や稽古の掛け声など、
師範の先生の言語は日本でした。
剣道は世界大会があるものの、柔道や空手のように積極的には世界に出ていないようです。
その理由の一つに勝ち負けの審査の仕方が極めて日本的であることがあげられると思います。
面(脳天を打つ)、小手(右手首を打つ)、胴(基本的には右側の腹を打つ)、突き(のど元を突く)という4か所を打つことで一本となり、通常は二本先取で勝負が決まります。
しかしながら、フェンシングと違って、電気仕掛けの竹刀などありません。
いくつかの格闘技で採用されているビデオによる判定もありません。
3人の審判員のジャッジがすべてです。
審判員に対して、異議申し立ては基本的には認められていません。
毎年、文化の日に行われる剣道日本選手権においても、
審判のジャッジがよく問題にされます。
今年の剣道日本選手権、準決勝において、大学生選手の竹刀がしなるほどの
突きに対して、それを受けた選手は、引き面(下がりながら相手の脳天を打つ)を打ち、
ジャッジは面を打った警察官である選手に一本の旗をあげました。
結局、大学生選手は敗北します。どうして、突きが取られず、
それに遅れた面が一本というのはおかしいと誰しもが思ったことでしょう。
さて、その剣道、昇段審査もとてもファジーなジャッジとなります。
初段から五段までは、県レベルでの審査ですが、六段から最高位の八段までは、
日本全国から受審者が集まります。
四段以上は、いくら相手に面や小手が決まっても、打つ回数が多いと不合格になります。
姿勢が悪くてもダメです。
審査時間は一分間の稽古が二回です。
六段以上の審査では、一分間に打つ回数は三回でいいと言われています。
すなわち、剣道の高段者は品格が求められるのです。
ただ、強いだけでは、合格しません。
正しい姿勢で、崩れずに打ち、打ってなお残心といって、
いわゆるフィニッシュの形までが、しっかりと決められています。
しかし、剣道の場合、「品格」ということに対して明確な定義がないように思います。
私の六段挑戦は、見事なまでに高段者としての品格を満たしたものではありませんでした。
打ちすぎ(おそらく十回以上)、姿勢などお構いない、とにかく勝ちたい剣道でした。
審査の立ち合いで、「イヤー」と掛け声をかけた時点で、頭が真っ白になり、
闘争心むき出しで、とにかく、打つ、先手を取るなど品格など微塵もなかったことに、
試技を終えてから気づきました。
剣道の品格、この非合理的な要素が日本の魅力でもあり、またグローバル時代に
考えなければならないことなのかもしません。
私の剣道六段への挑戦は続きます。

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