#3 留学生たちの今-好きなことを貫く
<前日のブログに続きます>
1989年にアーカンソー州の私立高校に留学したT氏との再会をもとにブログを書いています。
T氏は大の車好きです。自己紹介のパワーポイントには、彼の留学時代からの車歴が写真付きで網羅されているのですが、その数は21にも及びます。留学して運転免許を取ってから、ほぼ1年に一回の割合で車を乗り継いでいることになります。アメリカではジムカーナ(自分の車で参加できるスラローム的レース)や地方のレースに参加していたそうです。
さて、T氏は高校、大学とアメリカでしっかりとした学歴を築いたにもかかわらず帰国後に自分の望む就職はできなかったと言います。
それで始めたのが自分の好きな車の販売会社(東京都内)へのアルバイトでした。とりあえずとはいいながら彼は自分の好きなことを仕事としたわけですが、店長はイギリス人、マネージャーはアメリカ人という状況が彼に幸いします。
T氏が普通に英語を話せるだけでなく、読み書きもできて、英語圏の文化も身に着けている彼に店長さんは、「なぜ君がここでアルバイトをしているのか?」ということになり、彼はアルバイトから社員へとなります。
留学、卒業、帰国、アルバイトという経歴のなかで、初めて得た仕事ながら彼は「やればできる」という感覚をつかんでいきます。また、自分が志して留学したことが、実社会でも役に立つということも実感します。たまたま彼がアルバイトをした東京都内の外資系車販売会社では、彼の上司以外、一人の社員も英語は話せなかったそうです。
その後、彼は大学院への留学をしますが、それを決断したのも、彼の勤務している販売会社が、大手外資系の車会社に買収されて、自分の信頼できるボスとの関係がご破算になるという状況を、上司から早い時点で知らされたからだと言います。
彼が自ら、「勉強が好きなわけではない」と言います。しかし、留学は自ら望んだことなので、大学ではしっかり勉強して、単位もがっちりと取得したそうです。それが、大学院留学時に役に立ちます。手続きもあらたなビザ取得もすべて自分でスムーズに行うことができたそうです。
高校から大学留学を終えた時点で、彼はそれ以上の親からの援助は期待してはいけないという当たり前の自立心を持ちます。そして彼はサウスカロライナ州の大学院へと再渡米するわけですが、すでに机上の学習のみならず、社会を経験することで、大学院への留学は仕事と勉強の両立によって成り立たせることを強く意識したそうです。
つづく