2025/12/4 オーストラリア/メルボルンより。今日から施行! 16歳以下のSNS禁止 を考える。

オーストラリアはメルボルン。
現在、私はオーストラリア現地で今後歴史的な最初のステップとして語り継がれる可能性のある出来事を目の当たりにしようとしています。
それは、今回のタイトルでも察してもらえると思いますが、オーストラリアは政府主導で本日(2025年12月4日)より16歳以下の子供については全面的にSNSの利用が禁止となり、アカウント等にアクセスが出来なくなります。
オーストラリア国内のメディアを見ていても、一つの大きな話題として取り上げられていて、それこそ賛否両論が入り乱れる状況となっています。
この歴史的・試験的な試みがどれほど有効なのか?そして、それがどのような結果をもたらすことになるのか?その結論は現時点では誰も明確なことを言える人はいません。一方でオセアニアの教育大国であるオーストラリアがこの大きなステップを踏んだことが注目に値することだと思います。
コロナの際のいち早い緊急事態宣言と出入国の禁止を打ち出した国としてもオーストラリア、ニュージーランドは印象的でしたが、彼らは大きな一歩を踏み出したあとには必ずその結果としてのリサーチ情報を公表しています。結果が出れば続けるし、結果が出なければ調整する。それで良いわけです。最初のステップに変にコミットメントせずに、前言を撤回して直ぐに修正、調整する前提だからこそ、このような大きな決断を下せる。「間違ってもいい」「修正すればいい」これはこの国が独自の価値観と存在感を保っている大きな要因となっていますし、我々日本人が学ぶことも多いでしょう。
SNSの話に戻ります。子供に対するSNSへの制限を設ける方法に動いているのがオーストラリアだけか?と言われればそうではありません。日本における、愛知県豊明市で成立した1日2時間のネット利用制限の条例は記憶に新しいところですが、私の専門フィールドであるボーディングスクールでも同じ動きがあります。
今年に入ってから、私が訪問をするジュニアボーディングスクールでは軒並みTech Time (生徒たちが自分のPCやスマホを利用して良い時間)の短縮が図られています。各学校が別々に判断をした結果ですが、ちょうど同じタイミングで同じ決断をしたということに、ボーディングスクールとして生徒たちのネットに向き合う姿勢に対して課題を持っていたことは明らかです。
オーストラリアに戻りますが、オーストラリアが守りたいのは子供から、純粋にネット環境から距離を置かせるという処置ではなく、ネットビジネスが持つ子供(多くの場合大人も)たちを巧みなマーケティングで依存させるシステムに対するアプローチと言えます。政府の声明でもそれを明確にしています。
私の年代の場合、留学中はネットカフェや学校のネットに繋がるPCを予約して家族にメールを送る程度がネットの利用方法でしたが、それなりに学力も語学力も身についたと思いますから、おそらくSNSが教育に必須なものではない可能性は高いと考えます。それでも子供たちにしてみるとSNSに繋がらない世界はイメージするのは難しいでしょう。それだけに、今回の決定は子供たちの生活に大きなインパクトを与えることになりそうです。
今年の夏のカナダ・トロント大学に関しての私のブログではインスタグラムが子供たちの自己紹介ツールとして、またカウンセラーとのコミュニケーションとして活用されていました。また、異国で出会った生徒たちが、プログラム終了後も交流できるツールであるという点も見逃せません。
SNSを一概にネットの負の側面と決めつけられるほどの単純な問題でないことは確かです。同時に、今回のオーストラリアの決断がSNSの負の側面に対して無防備だった子供たちの生活に一石を投じることになるのは間違いないでしょう。
私は教育コンサルタントとして、現地でこの変化について引き続きリサーチをしていきたいと思います。




