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ボーディングスクールの本音3 ― 校長の役割

ボーディングスクールの校長先生はみな、気さくで親しみやすい人たちです。上から目線で語ったり、威張ったりしている人はいません。彼らは、自ら先陣をきってこれからの成長が期待される国々を訪問します。もちろん、生徒募集が目的です。
彼らは、しっかりとした教育理念をもった有能な営業マンであるといえます。「教育の世界で校長先生を『営業マン』と称するのは不謹慎」というご意見もあろうかと思いますが、私は校長先生たちが世界を駆け、既存の留学生の親を訪問し、生徒たちの成績や生活を校長自ら、丁寧に親に説明するのを見るにつけ、彼らのサービス精神がアカデミックな意味で営業ではないかと思うのです。私は彼らの積極性と立場にこだわらない細かな配慮に大いに感動し、また関心を持ちます。
校長先生たちは、生徒募集の大切さを十分に知っています。そのために何をすべきか、いつも考えています。その手がかりが、既存の生徒とその親にあることも知っています。
アメリカの大学に進学する生徒が多いなかで、生徒たちが満足にいく結果を出すためには、SATやTOEFLの試験結果を上げるだけではダメなことを校長先生は熟知しています。それ故にworking for their potential(生徒が持っている能力を引き出す)を追求するにはどうしたらいいのかを考えているのです。
校長先生にとって、生徒たちは一人ひとりが、自分の理想を実現するための主人公であり、そのストーリーをどうしたら完結できるかを模索します。生徒たちは決して学校存続のために駒のような扱いはされません。
寄付金集めること、生徒募集のための既存の親のネットワークを作ること、卒業生とのコネクションなど、校長がやるべきことは、どれもが学校経営にとって欠かせないことと言えるでしょう。それ故に、彼らの手腕で学校は大きくもなり、また存亡の危機にさらされることもあります。
若くして校長となり、キャリアを積み重ねて、より大きなボーディングスクールへと転身して、早期に引退するひともアメリカでは珍しくないようです。また、IECA(教育コンサルタント協会)のメンバーのなかにはもと校長先生という人も多いようです。ボーディングスクールの内容を熟知している人が故に、コンサルタントとして相談に来る家族にボーディングスクール選びについて的確なアドバイスをすることも可能でしょう。
このように多忙な校長先生を支えているのは、彼らの奥様であることは間違えありません。
(つづく)

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