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日曜コラム ある剣士の大学生活

私の通う剣道場に時々練習に来るゲンキ君は小学生から剣道を続けている剣士です。
団体戦、個人戦とも常に全国優勝に絡む都内にある有名私立大学に
スポーツ推薦枠で彼は入学したそうです。
中学校までは、道場のレギュラーメンバーとして通っていましたが、
その当時から、頭角を現し、私と同じ高校の剣道部で活躍しました。
久しぶりにゲンキ君と立ち合いました。
さすがに剣道で有名な大学の体育会剣道部員であっただけあって、
40歳になってから剣道を始めた私とは、スピードも技のキレも段違いです。
彼は教職員を目指していて、指導することにも興味を持っています。
小学生、中学生諸君と練習をする時は、熱心にそして丁寧に彼らを指導します。
さて、それほどまでに剣道を愛しているゲンキ君なのですが、
さすがに全国から集まった剣道エリートたちとの大学剣道部での4年間は
相当に大変だったようです。
高校時代には、インターハイの個人戦で全国レベルにランクされたそうですが、
大学では、彼を上回る成績の剣道部員がたくいて、
レギュラーメンバーにはなれなかったそうです。
「試合がとても厭でした」とゲンキ君は言いました。
さらには、「剣道が嫌いになりました」とも言うのです。
それでもゲンキ君は大学での部活動が休みの時などは、
道場に来て、私たちと立ち合っていました。
確かに、激しい練習に耐え、自己の限界にチャレンジするような
日々の稽古をしても勝てないという現実はとても辛いものでしょう。
しかし、ここからが本当の勝負と私は思うのです。
レギュラーメンバーに成れなくても、試合では勝てなくても、
人生はとても長く、その経験をどのように生かすかどうかが大切だと思います。
勝ち負けというのは、相対的なもので、恒に流動的でもあります。
そして、私たちは常に勝ちを心地よいものとして、
そして負けを不快なものとして捉えます。
勝っておごらず、負けてくらさずと言いますが、
負けがこんでくると、誰でも「もうやりたくない」という気持ちにもなります。
そこからが、その人の真価が問われるのではないかと思います。
剣道を愛して、一生続ける人はたくさんいます。
そのなかで、剣道プロという人はいないわけですから、
その剣道の体験をどうとらえ、自分のこれからの人生へのアプリケーションに
使うことが実用的、現実的なことではないでしょうか。
ゲンキ君が生き生きと剣道をしているのを見るとき、
私は彼からとても大きな力をもらいます。
彼には、私は勝てません。しかし、とても多くを学びます。
ゲンキ君には、これからも彼の剣道を続けてもらいたいと思います。
そして、元気であってほしいと思います。

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