小学、中学、高校留学 - 使える英語力を獲得するために
「若ければ若いほど言葉を覚えるのが早い」という概念があります。実際に幼児は、改まって教育を受けることもなく言葉を覚えます。聞いて覚えるという原理を利用した英語学習教材もたくさんあります。
そして、現代では、グローバルコミュニケーションの手段として英語がきわめて重視され、中等、高等教育において英語学習は理科系、文科系の枠を超えて、必須科目として存在感を増しています。
英語力重視の流れは、社会のニーズという点からみると統合されてはいません。初等教育においては、英語の何をどのように教えるかということが、観念的な指導要領はあっても、そのための実践が伴っているとは思えません。そもそも、使える英語や生活に役立つ英語という目標を達成するためには、必然が伴わなければやる気も起こらないし、30名以上の人にそれを一人で教えること自体にとても無理があります。
中等教育の6年間は、ひたすら英語教育は英語を理解することに徹せられます。そこでは、生徒ひとり一人の考えを英語で表現するということに重点は置かれません。
余談ですが、英語を好きと思う生徒は、英語そのものよりも、英語圏の音楽や文化に興味を持っていることが多いようです。
英語という言語の特性は、興味を持てば持つほど楽しく、また合理的に学べるものですが、ほとんどの生徒たちが単なる知識としての英語文法を学び、それを英語文章の読解に適応し、結局、試験に出る順番という視点で英語を学んでいるように思えます。一言でいえば、学ぶ生徒にとって「面白くない」のです。大学入試の英語読解の文章を読んでみれば明らかですが、どれも文化論、社会論的なものばかりです。なかには、若い人たちが興味を持ちそうなものもありますが、おおよそは社会現象の解釈、あるいは「べき論」です。
「それを理解するのが、高校生の役目」ということでしょうが、彼らに期待される大学生は、今が働き盛りの人が大学生であった当時のようには、海外に対する興味を持たず、あの車に乗りたい、あのバイクで走ってみたいなどということにも興味を欠いているようです。
就職に英語力は必須という状況から、大学生が取り組んでいるのはTOEICです。しかし、このテストは3回の大きな改訂を受けたTOEFLと異なり、知っていること、覚え込むことが重視される旧型TOEFLの焼き直し版です。すなわち、「就職」に必要だから取り組むのであって、自分にとって英語が必要だからということではない場合がとても多いと思います。
つづく