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★英語教育を変えるための選択

90歳を超えても現場に携わり臨床医療に多大な貢献をされた日野原重明さん(現在102歳)は、「医療も、教育も、国や行政を動かすよりも、国民を動かしたほうが早い」とその著書、「生き方上手」の最終章で述べています。私もまったく同感です。ことさら教育に関しては、それを受ける側が動かざるを得ない状況にあると言っていいと思います。
たとえば、これから求められるグローバルスタンダードの英語力についてですが、民側の対応として、楽天やユニクロが社内公用語を英語にすると言い出しました。そうすると、そこに就職したい学生たちは英語により力を入れます。もし、日本のメジャー企業が「英語公用語」を打ち出せば、必然的に学生の英語力は向上するでしょう。
ただし、英語を社内で公用語にする以上、使える英語の基準をテストに求めないほうがいいと私は思います。たとえば、TOEICで何点以上、英検2級以上という基準をつけると、それまでの受験勉強の連続でテストの点数を上げるための努力が中心となって、結果的に英語が使えない場合が多いからです。
英語が得意な中学生の留学をお世話する時、たとえ彼らが中学校時代に英検2級を取っていたとしても、それは英検用の学習を徹底して行ったからで、留学先で通用する英語の作文や、授業での受け答え、また生活に即使える英語ができるわけではありません。
標題のテーマに戻ります。
国や行政が方針を決めて、それを一般に浸透させるためには、それを実行する中心となる組織はとてつもないエネルギーと情熱を必要とすると思います。国自体が諸外国に比較して、劣勢であり、あきらかな努力目標が掲げられていれば、官民一体となってゴールに向かうことは可能でしょうが、今の日本で官民一体ということそのものが、現実的には不可能にちかいのではないかと思います。
日本が裕福になり、経済的な目標を達成したからこれからは、「ゆとり」を持とうということで、本来なら政府の掛け声のとおり、教育機関もそれに呼応して、学ぶということの本質を考えよう、単なる知識だけでなくて、精神的にも充実した学習を追求しよう、生きる力をつけるような学習をしようなどと今までの、暗記一辺倒の単調な教育を変えようと政府はしたわけです。しかし、それを受け取った生徒たちは、政府の思惑通りに動かなかった。すなわち、ゆとりの時間は遊びに費やされ、親や現場が政策に反発した。
では、誰が「ゆとり教育」についての責任を取り、それに代わるべき方針が明確に示されるかというと、専門家の論争がその前に延々と続いているような気がします。結局、教育を受ける側がいちばん、困惑させられるのではないかと思います。
つづく

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