★ボーディングスクール留学 ― 能力の伸ばし方4
<前日のブログに続きます>
昨日は、ボーディングスクールとホームステイ留学の違いについて、考えるなかで、異文化体験というより大きな課題に話が派生してしまいました。今日は、本題に戻り、ボーディングスクールが故に留学生の能力を伸ばすことができる利点について述べます。
個人が重視されるという社会的バックグラウンドを持っている英語圏のボーディングスクールでは、その教育の基本をプルアップ方式に容易に置くことができます。すなわち、良いところを引っ張り上げて伸ばすわけです。
日本では、これが本当のところとても難しいように思えます。全体としてのまとまりを中心に考える故に、一人だけの傑出は問題であり、一人だけの脱落も問題だからです。ただし、脱落については、テストの点数という客観的事実は変えようもないので、警告を発したあとの足きりは、公平の概念に背くわけではありません。故に、留年、落第、退学等になってしまった時の責任は学校にはありません。
問題は、特定のことに優れていることへの対応です。一定の基準を満たしている場合、日本では「オーケー」なわけです。しかし、日本ではそれをさらに磨きをかけるといったシステムがなかなか上手に機能していないと思います。特に、特定のことのみに優れているような場合が問題なのです。すべてに優れているのであれば、その人たちを集めて、特進クラスを編成することができます。しかし、数学だけ、音楽だけ、美術だけ、英語だけ、国語だけなどはどうなってしまうのでしょうか。
スポーツでも同様に、レギュラーで学校を代表して試合に臨めるのは、選択されたメンバーだけです。では、同様にスポーツを愛し、同様に伸びたいと思っている生徒でレギュラーに入れない人はどうなってしまうのでしょうか。進学校といわれている学校では、生徒の個性がどのように進学に反映されるのでしょうか。これは、個々の生徒にとって切実な問題であることは間違えありません。
グループが尊重される日本では、「組」が組織されてしまえば、そのなかで、うまくやっていくしかありません。「組」はそれだけの影響力と強制力を持つものです。ここに英語圏と日本の違いがあります。
英語圏では、ボーディングスクールを選択することは、「個」を最大限に生かすという条件付きの入学であり、そのために、先生も努力しています。ボーディングスクールにおいては、一芸に秀でていることは、徹底的に尊重されます。それを伸ばすこともオーケーなことです。そして、それをほめて、認めて、伸ばすことで、生徒を全体的にアップグレードさせようとするのが彼らの教育手法でもあります。
つづく