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日曜コラム 大学入試の英語問題

一時帰国中の生徒の依頼で英語を勉強することがあります。
教材は日本の一般的な高校生が使う大学入試問題です。
国立大学、私立大学などのいわゆる長文を読んでいくのですが、
女性の社会進出、日本と英語圏の住空間の文化比較、
交通手段の違い、コンピュータの普及、食文化についてなどなど、
興味深い内容ではあるのですが、とにかく情報が古いのです。
日本橋丸善の参考書コーナーで入手した教材ですから、
教材そのものが書棚に長い間放置されていたということはないと思います。
センター試験などで採用された文章もありますから、
入試に出る英語そのものが古いのです。
ボーディングスクールの国語(英語)の勉強とそれを比較してみると、
おおよそ日本の国語と同じように、古典的名著をまず中学校時代は学びます。
スコット・フィッツジェラルドやエドガー・アラン・ポーの短編、
シェークスピア、ダンテなどの有名な作品の一節が取り上げられます。
しかし、日本の入試で英語の小説の一節を読ませて、
その意味を問うというのは見たことがありません。
英語圏の授業では、あたりまえのように行われていますが、
日本英語の授業では、英語小説を鑑賞するというのは、
すこし難しすぎるのかもしれません。
さて、今でも良く目にする大学入試文化比較のエッセイは、たとえば
ルース・ベネディクトの「菊と刀」を思い起こさせるような古さなのです。
したがって内容は、論旨明確であり、上手に構成されていると思います。
英文も適当に長く、きっちりした構成で、構文にしても、
関係代名詞の使用についても解りやすく学びやすいものです。
しかし、古いのです。
たとえばある長文問題では、女性の社会進出が取り上げられています。
取り上げられている3つの要点ですが、
・電化製品の発明による家事労働の軽減
・出産コントロールによる子育てからの解放
・戦争(第二次大戦)による男性の減少による女性の社会進出
もっともなことなのですが、これが書かれたのは30年以上前
ではないかと思います。
英語を機能として物理的に学ぶことにおいては問題ないと思うのですが、
あくまでもコミュニケーションの道具としての英語ですから、
そこに盛られている内容を理解して、考えるという作業も重要です。
故に、受験英語の内容も若返りが必要だと思います。
どうして、現代でも古い情報の文章が盛られているか、
それは、おそらくそれを選んでいる人が古いからだと思います。
教育の世界にもドラスティックな若返りが必要な時期に来ていることは、
間違えないと思います。

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