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ボーディングスクールが生徒に望むこと ― 5 バランス感覚

<前日のブログに続きます>
ボーディングスクールでは、成果授業としての体育がなく、放課後のスポーツが必須であるところで終えた昨日のブログですが、スポーツのみならず芸術全般においても同様です。美術、音楽という選択科目を履修するという概念がボーディングスクールにはないといえます。楽器は、個別指導により伸ばすのが当たり前になっています。また、絵画、演劇、ミュージカル、ダンス、写真、陶芸、彫刻など多岐にわたる芸術は、正課のクラス時間帯ではなく、やはり放課後の時間を使って行われます。芸術に関しては、習うのではなく、自分の好きな分野を楽しむということがボーディングスクールでは基本になっています。
公立の学校と比較して、芸術、体育への配慮があついのがボーディングスクールの特徴と言えると思います。今まで、その理由について私はあまり意識したことがありませんでした。アートセンター、学内シアター(劇場)、日本の高校にはおそらく一つもないといっていいアイススケートリンク、ガラスが張りめぐらされたスカッシュコート、大きなボーディングスクールになると、小さなスポーツジムよりも充実した室内トレーニング機材など、テンスクールズを訪問する機会が増えれば増えるほど、その施設充実度に感嘆させられます。
なぜ、これほどまでボーディングスクールは、体育と芸術に力を入れるのか。その答えは、「生徒が主人公」ということにあると思います。そのつじつまがピタリと合うのが、難関ボーディングスクールの寄付金額です。億という金額の寄付が行われるのは、きまって卒業生からであり、現役の親からではないと思います。卒業生たちが、社会に出て成功し、「おかげさま」の気持ちをこめて寄付をする。寄付が税金から控除されるという日本との社会制度的な違いもあるでしょうが、寄付の主たる理由は、一番多情多感な時代に自分を育ててくれた母校に対する感謝の気持ちではないかと私は思います。
通いの学校というのは、家庭というホームベースがあります。そして、さまざまな教育機会をお母さんが中心となって演出してくれます。故に、学校の機能として、学習外のいろいろな設備を徹頭徹尾充実させる必要もありません。ところが、ボーディングスクールは、子どもたちのホームベースを学校が兼ねないといけません。ゆえに、どうしたらホーム・アウェイ・フロム・ホームを実現できるかということは、ボーディングスクールの恒なる課題なのです。これをおろそかにすれば、すぐに生徒数が減につながり、学校は存亡の危機に陥ります。
知育、徳育、体育、情操教育のバランスを恒に考え、言うだけでなく、システムとして実行してきたボーディングスクール、その組織を支えているのは、そこから恩恵をうける全ての人です。
つづく

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