中学高校時一年間留学について - 2
<金曜日のブログに続きます>
2週間前の週末のことですが、一年間留学希望の高校生22人と
面談する機会を持ちました。
一年間留学を前提にして高校生活を送っている彼らと話せることは、
私にとっても若者の現状を知ることができる貴重な機会です。
すべての生徒に共通していたのは、二つのことです。
① 英語が話せるようになりたい
② 現地の生活になじむことができるかどうか不安
そこで、私はセミナーに参加したニュージーランドの先生方に提案しました。
―英語力がほとんどないといっていい高校生のために、あなたたちはどのようなプログラムを準備していますか。
―生活に不安をかかえる留学希望者のためにどのような受入れ状況をつくっていますか。
ニュージーランドでは、留学生のための英語クラスをESOLと呼びます。
ESOLの良しあしを決定するのは、明らかにそれを教える人です。
日本の予備校でも、人気講師とそうでない人では格段に差があると思います。
私がセミナーに参加したニュージーランドの教育者に伝えたかったのは、
英語の話せない留学生をいかにして自信を持たせるかで、
彼らの留学生活は激変するということです。そのためには、
英語という言葉で勝負するのではなく、本来留学生一人ひとりがすでに
持っている個性を発揮できれば、おのずと留学生活は楽しくなるということを、
現地の先生方にぜひ知ってもらいたかった。
ニュージーランドの学校にはそのような科目、機会が十分にあると思います。
ESOLでの英語学習は必須となりますが、
それだけでは英語全般をカバーできません。
また、日本の英語学習のように、細かく英語の読み書きを教えるということを
ESOLクラスでは行なっているとは思えません。
机上での学習を中心に行うよりも、むしろニュージーランドでは
観光学(ツアーリズム)、食品栄養学(フードテクノロジー、ニュートリション)、屋外教育(アウトドアエデュケーション)、育児学(チャイルドケアー)、工作実習(ウッドワーク、メタルワーク)などの職業訓練的な科目を通じて、
学校生活に慣れるほうが、より合理的に学習できると私は思います。
このような科目は、私立、公立、統合学校を問わず、
すべての学校に設置されています。
日本では、大学入試のために、高校のカリキュラムが作られ、
それだけでは足りない部分を学校外の学習で補いますが、いわゆる
予備校的文化は英語圏の国々には皆無といっていいと思います。
日本からの留学生に実践的、実用的科目があることを十分に知らせて、
特に初年度は、英語や彼らの学校文化に慣れるためにも、
語学中心の科目よりも、活動的な科目を取って現地に慣れることで、
留学生は新たな自分を発見できる可能性が十分に考えられます。
ニュージーランドと日本では、お互いの教育の在り方の根本が
異なるために、その常識がすれ違い、意外とその特徴を生かした取り組みが
難しいことがあります。
日本とニュージーランド双方で、留学前の必須確認事項として
お互いの教育の実情を知っておくことは、留学効率を高める上で、
とても重要と思われます。