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アメリカボーディングスクール留学-教育の均質化と非均質化

ボーディングスクールを訪問するたびにいろいろなところで見聞きするmake a differenceという考え方は、彼らの教育が生徒に対して均質でなくてもよいことを象徴していると私は思っています。単なるモットーや理念ではなく、そのための教育的道具やノウハウをそれぞれのボーディングスクールは必死で追及していると私は思います。
ひとクラス15名以下という人数、スポーツ、芸術、音楽などを行う機会の提供、各自にあてがわれるアドバイザー(教師、上級生)制度、寮生活をサポートする職員や教師、必要に応じて受けられる個人授業などは、非均質な教育を通じて、生徒一人ひとりが新たな自分に目覚めるチャンスを与えるためのシステムであると思います。
一方で、日本の中等教育を考えてみると、生徒たちの日々の生活がマンネリ化して、学習が作業となっているような状況で自我への覚醒はとても困難なことです。それでも、作業に耐える、作業に慣れる、作業に順応することで、より高いステージに立てると考えるのが、日本の中等教育の概念ではないかと思います。
均質な機会を提供して、なるべく全体のパフォーマンスを上げるわけです。故に、個別指導や個性を伸ばすような機会は日本の場合、学校外にあることが戦後の教育では、いつの間にか当り前ととらえられているように思います。
それぞれの教育的手法には、メリットとデメリットがあります。非均質化的教育の最大のメリットは、個性の伸長の可能性が豊富にあるということになるとおもいますが、一方で手作り部分が多くなるために人件費や施設費が増大し、教育コストがとても高いものになってしまいます。また、いくらシステムとそれを支えている人間が有能であっても、それを受ける生徒たちの教育意識が低いと、宝の持ち腐れになりかねません。
均質化の教育は、覚えることが中心であり、先生対生徒、あるいは生徒間の意見交換や討議をあまり行わないので、クラス人数を40名ほどに保つことができます。また、スポーツ、個別指導、芸術、音楽などの活動は、あくまでも個人の任意選択であり、必須条件ではないので、施設や設備に対してもボーディングスクールほどのコストをかける必要もありません。さらに、生徒はほとんどの場合、学校に通って来ますから、24時間管理のための人件費と施設費もボーディングスクールに比較して大幅に削減できます。
結果として、生徒一人当たりの教育コストをかなり低く抑えることが可能です。
均質を求める教育、あるいは非均質を追求する教育、ともに急激に変化するとは思えません。それぞれの特徴を理解し、高等教育にどのようにつなげていくかを判断するのは、それを受ける側の判断となると私は考えます。

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