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高校生の留学体験 - 大切な人、大切な場所(加藤晴子さん)

「なぜ留学したいのですか」と尋ねられて、迷いなく筋道を立てて説明できる中高生がいるとすれば、相当に「返事」の訓練を積んだかあるいは、自分についての考察の深い人だと思います。私がお世話する留学生のケースでは、Why do you like to study at a boarding school?という質問にスラスラと答えられる生徒はほぼいないと言えます。
加藤晴子さんのアイルランドへの留学の動機も「ただ惹かれたから」というのが彼女の本音だそうです。しかし、実際は、「英語を生かしたかったから」、「緑がいっぱいありそうだから」などと彼女いわく不純な返事をしていたそうです。不純というのは、正直でないということだと思いますが、初めての飛行機、はじめての海外というわりには、驚くほどに彼女のアイルランド留学のスタートはポジティブなものでした。
彼女のクラスは現地、ダブリンにある通常の高校クラスではなく、なんとIB(インターナショナルバカロレア)のクラスだったそうです。一般にIBクラスは英語を母国語とする生徒にとっても、より高い英語力と数学力が要求されます。「初めのうちはわからないことだらけで、いつもみんなに助けてもらいました」という晴子さんですが、その秘密は、理系が好きな彼女だったので、化学、物理などのクラスを中心に取ったことによるものと思われます。
彼女はそれらのクラスでは実験が多く、内容も充実しているといいます。そして、留学中に学んだことが、日本の大学受験に大いに役立ったというのです。これも驚きの発言といえます。
理数系と文科系に大学進路を分けた場合、中高時代の留学では、圧倒的に文科系の生徒が多く、理数系の生徒が一年間留学を希望すると、日本の大学受験に不利なるから「大学入学後に留学すること」を一般的にすすめられます。大学受験で問題になるのは、実は理科系科目の英語圏のレベルの低さというよりも、学科の勉強と英語の勉強の両立が難しいというのが現実です。英語圏においては、能力のある生徒は、学年にこだわらずに自分の知識と能力にあったクラスを割り当てられるのが普通であるからです。
理数系の科目でも、英語力とは別である公式や計算方法などの知識がしっかりしていれば、年齢、学年にとらわれずに実力にともなったクラスを割り当てられます。
ホストファミリーは晴子さんを家族同然として受け入れ、そのように過ごさせてくれたそうでうす。そのことが、彼女にとって涙が出るほどうれしかったそうです。一年間、さびしいこと、目をそらせたくなるようなこともあったそうですが、「自分が一生懸命であれば、まわりのみんなが見守ってくれる」ことを実感として理解できたことでしょう。
大切な人、大切な場所が増えたことは、彼女の人生にとってかけがえのない財産になると思います。
(*注:加藤晴子さんの手記は成功する留学、小・中・高生の留学2001-2002、120ページに掲載されています。)

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