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高校生の留学体験 - エアーズロックでの気づき(荒井芙美さん)

オーストラリアのSouth Australia州にあるペノーラという町で、荒井芙美さんの留学はスタートしました。最初の四か月間は、極端なホームシックにかかり、親からのエアメールに涙し、ホストファミリーとのコミュニケーションは疑心暗鬼に陥り、「こんなはずではなかった」という思いに圧倒されて、自信を完全に喪失してしまったそうです。そうなると当然、学校でも自分から行動を起こすといったことはなく、誰かが自分のところに来てくれるのを待っている状態となります。
これではいけないと理屈では、解っていても、行動できない。その状態が一週間前後であれば、誰にでもあるカルチャーショックからくる、ホームシックであり、自分の精神の消化不良あるいは適応不良などといって、「いい思い出」として、こころの引き出しにしまいこめます。
問題はこれが一か月以上の長期にわたる時です。そんなとき、留学生たちは、受身の行動に陥る自分を責めるか、あるいは人や環境のせいにするかいずれかの方向に行くものです。
芙美さんの留学も四ヶ月が過ぎ、まだ積極的になれないなか、彼女は留学生の友人から誘われた「サファリキャンプ」に参加します。アデレードからメルボルンまでを旅する二十日間、彼女はエアーズロックに上り、眼下に人々をながめ、自分の精神の矮小性に気づかされます。
「今まで、私は何をしてきたのか」
小さなことにくよくよ悩み、つらい現実から逃げてばかりいたと彼女は述懐しています。そして、日本ではない環境のなかで、自分の改造に取り組みます。
サファリキャンプから帰り、新たなホストファミリーとの生活のなかで、彼女は掃除、洗濯、庭の芝刈り、ベビーシッターを「自ら」やっていったようです。そこに家族との信頼が生まれました。芙美さんはホストファミリーから諸事を「任される」認識するに至ります。それが自分にとって「嬉しい」という気持ちに変わっていったようです
彼女の変身は、エアーズロックという自然から与えられた恵みだったと思います。
彼女は留学終了後、一年間を海外で過ごすという決断を了解してくれた親に感謝します。また、消極的であった時も、そうでなくなってからも、変わらず応援してくれた学校の先生や周りに人々に感謝の意を表しています。
芙美さんの留学物語を俯瞰すると、極端なホームシック、サファリキャンプ、行動の変化、感謝の気持ちという一連のうごきとその認識が精密にかみ合っているように私には思えます。すなわち、極端なホームシック、カルチャーショックがあったから、自然へのチャレンジがあった。それが、自分に対して、強烈なインパクトを与えて、精神を覚醒させた。それが彼女を人間として成長させた。
一年の異文化での体験は、彼女のこころのなかに第二の故郷を作ったに違いありあません。その経験が次の世代にすなおに引き継がれることを私は願っています。
(*注:荒井芙美さんの手記は成功する留学、小・中・高生の留学2001-2002、119ページに掲載されています。)

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