日曜コラム 皇居マラソン
三月に禁煙し、それ以来の体重増加を防ぐために始めた皇居マラソン、
6月から週に二回のペースで続けています。
はじめは、皇居近辺の景観に感心しながら、タイムも気にせずに
走っていいたのですが、自分の習性として、
より早く走りたいという気持ちに勝てません。
皇居一周は五キロと言われています。
目指すは、一キロ五分と自分のなかでいつの間にか設定していました。
二十五分を切るというゴールに向けて、五回目のランで二十六分三十九秒。
その前が二十五秒でしたから、記録が下がりました。
二十六分まではいくだろうが、その次が問題などと
あれこれと対策を考えることが多くなりました。
我が家では、子どもたちが自立し私と家内だけになったので、
二人の会話が必然的に多くなります。
この皇居マラソンのことを家内に言うと、
「それが悪いのよ。無理して膝や腰を壊したり、心臓にも負担がかかったりするのよ。マラソン始めたきっかけは何だったの。体重が増えたからじゃないの。タイムが問題じゃないでしょ」とズバリ。
そのとおりなので、反論の余地がありません。
反論というよりも、彼女の意見に気づかされました。
最初の走りは、周りを見ながら、あれはどんな建物だろうとか、
きれいな景色だとか、初めての経験にうきうきしていました。
真剣な顔をして走っているランナーに比べて、自分がにこにこしながら
走っていることがわかりました。
しかし、二回目で前回よりもタイムが一分あまり縮まったことで、
自分自身との競争心に火がついたのだと思います。
「もう若くないんだから、タイムはいいでしょ。それよりも、楽しく走ればいいじゃない」
という家内の言葉に、「うーん・・・」と私は沈黙しました。
「そんなことは、わかっている」などと昔の自分なら言ったことでしょう。
「タイムを気にするところに向上心がある」とも言ったかもしれません。
しかし、よく考えてみるとどうでしょうか。
なにかを始めるその初心とその維持はとても大切なようです。
私が固執したのは、タイムですが、これも一つの数字です。
「健康のため」という当初の目標は、タイム換算しないほうが
健康的だということがわかりました。
精神の元気さを保つためにも、息をハアハアさせながら、必死の形相で
タイムを追いかけるのではなく、
元気で走れることに感謝するということに戻りたいと思います。