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迷える青年 - NZ留学の現実 その1 渡航日当日

「この一年間、息子も私もたくさんのことが起こりましたけど、おかげさまでニュージーランドへ渡航する日を迎えることができそうです。皆さんに感謝しています。いつも、お互いどこかで気持がすれ違っていて、すなおに向き合えないことばかりですけど、これを機会に、息子のことを受け入れたいと思っています」
渡航日を目前にして、「ホッ」とする瞬間にお母さんは、
こころを落ち着かせて、肩の力を抜いて、わが子を思います。
「なんでも受け入れよう、彼のことを愛しているのだから・・・。思い切って、自分のこころのうちを文章にしてみようかしら。私から変わることが大切、彼は私を写す鏡なのだから」
―お母さん、それは素晴らしい。ぜひ、実行してほしい。迷いが消えた彼は、そんなお母さんからのメッセージを全身全霊で受け止めることでしょう。
ところが、現実はそれほどスイートではありません。
渡航日当日、「あんた、コンタクトは大丈夫なの」
「えっ、準備していないの。今日は出発日でしょ。メガネ一つじゃあ、だめでしょ。もぉー、早く、眼科に行って、検眼してもらって」
「荷物は、準備できてるんでしょうねぇ。えっ、まだなの、何やってんのよォー。もー、ほら、まったく、あんた、いくつになったのよォー。私だって忙しいんだから、子どもはあんた一人じゃないんだから」
私の前では、「迷える青年」はとても饒舌で、笑顔がとにかく最高で、
人の言葉や行いへの解釈のポイントがずれなく、誇り高き自我を持った
よい青年なのです。
しかしながら、
お母さんの描く息子像はオフィスで相対している笑顔の青年ではなく、
中学校を終わろうとしているのに、まだ身の回りの世話が自らやけず、
放っておいたら、何もしようとせず、ふわふわと世間を漂ってしまう
であろう心もとない子どもなのです。
―最後の最後のそれまた最後まで、彼にすべてを任せたらいいじゃないですか
「斉藤さん、それ無理。そんなことしたら、留学なんかできやしない。オフィスでしかあいつのこと斉藤さんは見ていないから・・・」
―でも、うるうるとするような手紙を彼に書く予定じゃなかったんですか。彼を受け入れなかったら、書けないでしょ。
「あいつへの愛の手紙は、今のところビバルディの世界」
―えっ、『調和の幻想』。お母さんの空想で終わってしまった。
「まあ、それが現実ですよ。とにかく、私も忙しいし・・・」
空港に送っていったのは、お父さんだったそうです。
ニュージーランド航空は空港第二ビルにカウンターがあると
私は説明しましたが、何と第一に移動していたとのこと。
ニュージーランド航空を最後に利用したのは、去年の夏でした。
情報が古かったことを、私は反省しています。
彼とお父さんが、ターミナルを移動しているころ、
私はアメリカニュージャージー州のニューワーク国際空港から
日本に向かうUA79便の機上にありました。
つづく

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