#4 東大への道とアイビーリーグへの道
<土曜日のブログに続きます>
先週のブログでエッセイによる独自の視点と表現の重要性を述べましたが、日本の受験とアメリカのそれとでは「競う」ことの根本が違うと思います。問題を解く方式の日本の場合、どれだけ難しい問題が解けるかということを競うことになります。この競争は自己表現ではありません。自分自身のやりたいことや興味とは関係なく、とにかく正解がえられないことには先が見えません。すなわち、それは耐えること、続けること、間違わないことが基本になっている競争ではないかと思います。
アメリカの入試では、TOEFL、SATは問題の難易度は一定で、受験者のレベルに合わせて問題が難しくなるというようなこともありません。誰でも受けることができて、年に一度だけの受験機会ということではありません。
学力の要求度合いとその確認の方法が日本とアメリカでは違うことが、競う視点の違いに結びつきます。アメリカの入試において、競うのは、学力特性だけではなく、自分の特技、趣味や興味に対する取り組み、文書表現力、考え方など、自己表現力が問われます。いわば自分自身の総力戦になります。
従って、試験日一日で合否が決定するというようなことはあり得ず、出願の期間は9月から1月末までという日本においては考えられない長期間にわたることになります。
日本では、東大を頂点として国立や私立の難関大学のランキングが決められますが、アメリカではアイビーリーグ校が頂点で次に難関州立大学や私立大学がランクされているわけではありません。
アメリカの場合、州の独立性が高く、国土も広大で日本の東京のような国の中心都市がないために、大学のランキングということも日本のように学力という物差しで合理的に順序立てられることがないと思います。
一例を述べれば、アメリカの東海岸地方の一番北に位置するメイン州には、3つの著名な大学があります。Bates College、Bowdoin College、Colby Collegeです。いずれも総生徒数2000人に満たない典型的な小規模リベラルアーツ系の大学です。メイン州の生徒はアイビーリーグ校に行かなくても、これら自州にある著名な大学に行き、大学院に進学するときはアイビーリーグ校で考えるというのもアメリカでは極めて一般的、順当な選択肢ということになります。