日曜コラム 雪again
雪の多い年になりました。
清少納言の枕草子。冬の部分を引用します。
冬は、つとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。
家内は雪国の出身なのですが、とにかく寒さと雪が大嫌いで、
清少納言の冬の段には、ヒステリックな反応を示します。
本州の関東から以西の平野地帯で育った人には、清少納言の冬の段に
頷く人も多いのではないでしょうか。
雪に不慣れな東京は2週間ほど前の雪で大混乱でした。
中庸をもってよしとする日本においては、度が過ぎると何事もいけません。
今回の雪もいわばその典型で、雪にうんざりしていたところに
「また雪か・・・」と世の中のため息が聞こえてきそうです。
夜半から津々と降り始めた雪は、朝になっても止まず、
自宅の周りは2回目の雪化粧でした。
前回の雪で、降った翌日以降の路面凍結がとても怖いことを
思い知らされたので、「またか」といよいよ
朝の出かけは肩に力が入ります。
ところが、今回の雪、前回とは全く違いました。
オフィスの前、皇居周辺には、雪が積もった形跡はありません。
東京に降った雪は、どうやら前回の雪を溶かしたようです。
我が家の周りでも、道路は白く雪に覆われましたが、
前回のようにガリガリと路面が凍ることもなく、
雪はシャーベット状になり、前回の雪の塊を小さくしていきました。
同じ雪なのにどうして今回の雪は積もらずに、水と化したのか
不思議がる私に家内は「重い雪だったから」と断言しました。
雪国育ちで年の1/3は雪に埋もれる地域にいたので、
雪に精通しているのか、あるいは、クイズ番組をバックグラウンド
ミュージックよろしく流している日常で知識を得たのか、
彼女は時々、目から鱗のような瞬発力のある簡潔メッセージをくれます。
二月になりました。
暦の上では、大寒が終わります。
まだまだ寒い日が続きますが、もう2週間ほど前のような
雪はないだろうと思うのは、自然に対して楽観的すぎるでしょうか。
冬はつとめてと清少納言は言いましたが、
早く春はあけぼのと言える季節になってほしいと思います。