留学と進路 - 週末コラム
留学と自分の進路はセットにして考えるのが、合理的ですが、現実はなかなかうまくいきません。小学校の高学年から高校生をお世話していると、自分の将来について上手に語る生徒は日本からの留学生にはいません。
6月になり北半球に留学した生徒がほぼ帰国し、進路について、本人と直接に会って話すこともあれば、家族で来社して話をすることもありますが、親の心配をよそに本人は留学生活とはまた違った日本での「ルーティーン」にほっと一安心というのが本音だと思います。
中学留学の場合は、すぐ目の前に控えている高校進学について、高校留学の場合は、大学選びとその対策についてというのが、1年間留学を終えた本人およびご家族との話題の中心です。
私の回答は決まっています。
留学した本人の年齢や英語力に関係なく、日本人留学生の進学の決め手は、TOEFL、SSAT、SATのスコア次第ということになります。「結局、日本の受験科目がTOEFLとアメリカ版センター試験に変わっただけではないか」と考えるのは、早急にしかすぎません。
日本の受験のように、頂点を目指すのであれば、その学習メニューが小学校から決められていて、その「ライン」に乗せられるような教育システムと違って、アメリカ、イギリス、そしてほかの英語圏の国や、ヨーロッパのインターナショナルスクールは理路整然とした学習ラインなどほとんどないといえます。
それは、TOEFLやSSAT、SATが日本の受験の内容よりも比較的簡単にできているということです。
例えば、7年生として英語力ほぼゼロで留学した生徒が1年後にTOEFLの模試をうけたところ68というスコアでした。また、インターナショナルスクールを経て10年生として留学した生徒のTOEFLは72でした。
日本の私立、公立の難関といわれている大学への入学に必要な英語力はTOEFLで換算すると100点ほどですが、この点数は、前述の生徒たちにとってははるかかなたにあるゴールなどではなく、一年以内にも達成できるといっていい身近なものではないかと思います。
TOEFLだけではありません。SSATもSATと数学に関しては、日本人留学生にとっては、難しいものではなく、ほとんどの生徒が9割くらいの正解率を達成しています。
問題は英語です。
英語に関しては、現在のIBT TOEFLは大学の授業に耐えられるように読み、書き、聞く、話すの分野がとても実用的になおかつ暗記のみでは対応できないように作られています。だからこそ、一生使える知識として、取り組み方を変えれば、100点は達成できて、それが自分の英語教養の基礎を作れるのです。
<明日につづく>