2025/5/20 生徒からの便り。アメリカ・ボーディングスクールを卒業する生徒より。
彼が私のオフィスに初めて来たのは4年ほど前になります。
日本での生活に何も不自由なく暮らしていたものの、将来は自分の好きなサッカーやそれに関連する業界で働きたいという夢を持っていて、世界を渡り歩いてビジネスをする為には英語が話せるだけではなく、その英語を話す文化圏に身を置くことが大事だという考えを持って私のオフィスに来ました。
英語は?
「授業で勉強しているくらい」
「よし!まずは、英語で少し会話してみようか?」
「My name is…」
彼の英語は典型的な日本人の英語力=学校で英語を習っているけれど、話す経験もなければ、そもそも英語をコミュニケーションのツールと捉える意識はなく、あくまでも授業の科目として捉えているレベルの英語力でした。
それでも、彼は無事にELSのあるアメリカ、メイン州のボーディングスクールに合格し、得意のスポーツを通して現地で友達を作り、数年後にはほとんどの長期休暇を、友人宅に滞在したり、友人と旅行に出かけたりと、ほぼ日本に帰ってくることのないアメリカ留学生活を過ごしました。
日本に帰国時に会う彼は、英語力だけではなく自分の将来の目標や現地で身につけた価値観、多様なものの見方について思う存分私に語ってくれました。典型的な日本の中学生だった留学前の彼とは爽やかな表情や外見は変わらなものの、その内面は留学前には想像できなかったほどの成長を遂げていました。
そんな彼もこの5月にボーディングスクールを卒業することになります。その彼が卒業を前に全校生徒を前にしたスピーチをした動画を親御さんが送ってきてくれました。
スピーチをする彼を紹介する司会者も生徒、その生徒のコメントからも彼に対する尊敬と親愛の気持ちが伝わる暖かさが感じられます。一緒に楽しみ、時にふざけ合い、感情をむき出しにする彼のエピソードと共に彼の名前が呼ばれると、ここでもまた暖かい拍手と笑い声が聞こえます。
キャンパスに到着をした当初は英語が全く話からず、ティーンエイジャー特有の挨拶さえ理解できず、雪で休校になった日でさえ彼はその事が理解できず、一人ポツンと教室の前で永遠に授業が始まるのを待っていたエピソード、そしてルームメイトや親友との出会いを通して少しづつ留学に慣れ、英語でのコミュニケーションに不自由なく暮らせるようになった過程を、時に笑い、時にジョークを交えてスピーチをする彼は、留学初日にキャンパスに移動するバスの中から、心細くて、何度も何度の私の携帯電話にメッセージを送ってきていた頃の面影はありませんでした。
高校のボーディングスクール経験を通して、こんなにも成長した彼を私はとても誇りに思いますし、その成長の過程をそばで見る機会が持てたことは幸運以外の何者でもありません。
昨今は留学スタートの低年齢化が進んでいますが、高校からの初めての留学でもここまで成長ができる事を彼は証明してくれました。むしろ彼は高校生年齢だったからこそ、その人間性や日本人としてのアイデンティティ、キャラクターを上手に活かして留学を成功させたすばらしいケースだったと思います。
これからも成長を続ける彼のことを引き続き見守りたいと思います。