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日本の英語教育について

今週は、アメリカにいます。
日本とここアメリカの東海岸には、現在14時間の時差があります。
すでに日本では月曜の朝ですが、ここコネチカット州、ハートフォードは、
日曜日の夕方、紺碧の西の空に濃いオレンジ色の太陽が
ちょうど地平線に沈んだところです。
日本からアメリカへの移動時間を利用して「日本の英語教育」という本を読みました。この本は言語教育学者で広島修道大学で教鞭を取る山田雄一郎氏が、
2005年4月に刊行した本です。
11年前に書かれた本ですが、現在でも十分に通用する内容と断言できます。
その著書のなかで、山田さんが生徒の(学習の)動機づけについてとてもユニークで
教育の核心をついたコメントをされています。
少し長いですが、全文を下記に引用させていただきます。
動機付けをあえて陳腐な譬えで語るなら、教師本来の役割は、水を求めている馬を水場まで連れて行くことであるはずだが、彼らは、渇きを覚えぬ馬にまで水を飲ませるように求められている。それこそが動機付けであると思いこんでいる世間は、その技術の稚拙な教師を難じたりする。学校長は、その立場上、全校統一模試とか入学試験とかの結果に期待し、他校との比較に一喜一憂する。その期待は教師の時間外の勤務に転嫁され、それはさらに生徒の学習負担に姿を変えていく。教師と生徒のやる気を試験の結果によって説明しようとする悪癖は、このようにして生まれる。英語学習への動機付けを、高校や大学の入学試験、果てにはTOEFLやTOEICなどの試験対策といった倒錯的な手段に頼るなど、私に言わせれば危うさを通り越して、もはや病気である。
(引用を終わります)
教育とは、この地球で人間のみが発明した、人を幸せにし、
社会を発展させるためにある手段であると思います。
人間以外の動植物は、生まれた時から親や集団が個に対する「教育」が
プログラムされていて、そのものが進歩することはないと思います。
その中で、日本において特に、英語教育は、近年、その重要性が強調され、
小学校にまでの導入が決まるなど、その必要性が強調されている割には、
社会に出た時点でそれを使える人がそのニーズと比例して
伸びているようには思いません。
山田さんは英語教育でもっとも必要なことは、「外国語教育(ここでは英語のこと)を通して日本人をどう育てるか」ともその著書のなかで繰り返し言及されています。
ボーディングスクールにおいて、おそらく日本からの留学生が最も真摯に感じ、かつ早急に学ばせられることは「自分とは何か」ということではないかと思います。とても良い本に出会ったと私は思います。
明日から、ボーディングスクールへの訪問が始まります。

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