○子どもたちの秘めたちから4 お母さん-2
<前日のブログに続きます>
どれほど成績優秀な生徒であっても、どれほど運動性に優れた生徒であっても、そこに至るまでのストーリーが単純であるはずがありません。生徒一人ひとりにその生い立ちから始まって教育選択に至るまでの独自の物語があり、それを演出してきたかなりの部分をお母さんが占めると思います。
遠隔であろうがなかろうが、子どもたちの精神はしっかりとお母さんと結びついています。そして、異文化は子どもたちの隠れていた才能、能力、特性、個性などを余すところなく顕在化させる大きな力を秘めています。
さらには、誰にでもあるわがまま、いい加減さ、無計画性、放蕩性、直情径行といったマイナスの要素も留学という極めて特別な環境で引き出される可能性も十分に考えられます。
留学生に英語を教えるESLの先生や、アドバイザー、そして生徒が落ち込んだり、適応できずに悩んでいる時相談に乗ってくれるスクールカウンセラーなど、留学生の面倒を見るという機能の充実がボーディングスクールの大きな特徴となっています。
また、ニュージーランドにおいても、留学生担当者、ホームステイ担当者、そしてESLの先生による留学生へのお世話は、けっしていい加減なものではありません。しかし、異文化生活をスタート時から、受け入れ側が持っている充実した機能を留学生が生かせるかというとそれは難しいと言わざるを得ません。
留学生は世界からやってきます。日本だけではありません。日本人留学生だけが特別というわけではありません。また、英語圏文化の基本は、本人からの発信ということにあり、日本文化の基本である気遣い、礼儀、控えめ、以心伝心などといった独特の人間関係は、現地の一般の人には到底理解できないことなのです。したがって、留学当初から半年くらいは、言葉の不自由さと異文化理解の不自由さを支える誰かが必ず必要となります。
10代の留学においては、お母さんの役割がとても重要であるばかりでなく、自らが海外のわが子と共に精神的な成長をしていくと言えます。子どもたちから発信される現地での出来事を分析し、自らの人生経験をもとにして的確なアドバイスや励まし、you can do itをこころから発信できるのはお母さんです。
また、子どもたちの隠れていたマイナス力が出た場合も冷静に、受け入れて対応できるのは、カウンセラーやセラピストなどの専門家というよりも、わが子を心から愛し、慈しみ、育ててきたお母さんです。
子どもたちの隠されたちからはこれからの時代を生きていくとても大きな要素となると私は信じています。なぜならば、自分か好きなことを追求するということが、これからの人生では必要とされるからです。すでに、終身雇用も年功序列もあり得ない時代であり、これからの子どもたちは世界との関係の中で自分を生かさなければいけないのです。