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日曜コラム 日本の時代劇とアメリカの西部劇

最近の国際線のフライトでは、昔と違ってたくさんの映画を
見ることができます。ジャンルも豊富で、日本発の場合は、
邦画のカテゴリーがあり、その中にはたいてい時代劇が含まれています。
私は邦画が大好きで、それを観るのが国際線に乗る楽しみの一つです。
邦画のなかでも時代劇が特に好きです。
8月は2度、ニュージーランドに行きましたが、藤沢周平原作、
篠原哲雄監督、東山紀之主演の小川の辺を2度観ました。
剣道を通じて剣術にも大変興味のある私は、映画での剣劇のシーンを
みるにつけ、その立ち会いから、打ち間に入り、打突に至る一連の
動作のなかに、監督や役者さんの努力や工夫を感じます。また、
ストーリーに込められた、武士の正義を愛する精神と、
お上に対する忠義との葛藤、そして主人公の生き方に、
いつも涙します。
日本の時代劇といえば、テレビで超ロングランを続けてきた、
水戸黄門がついに終わるそうです。それも時代の流れでしょうが、
これからも、時代劇作品は映画やテレビで放映され続けると思います。
特に、戦国時代やそれに続く徳川までを扱った歴史もの時代劇には、
私たちが学べる多くの歴史的教訓が残されていると思います。
さて、日本の時代劇に対して、アメリカの時代劇といえば、ウエスタン
とよばれた西部劇です。ジョンウェイン、アランラッドなど、
懐かしく思い出される方も多いと思います。
そのアメリカの時代劇を最近は目にすることがありません。
映画は作られているとは、思いますがその頻度数は日本の時代劇に
比較すると低いと思います。
テレビでレギュラー番組としての西部劇は日本の水戸黄門よりもづっと
先に終わっていると思われます。
日本とアメリカの狭義の意味での過去、その象徴の一つとして
時代劇の取り扱い方に違いを感じます。
アメリカは多民族国家です。彼らを取りまとめている大きな概念が
キリスト教ですが、ヨーロッパから移民してきた人達が、
アメリカで自分たちの新たな歴史を切り開こうとした時に、
先住民族の人たちとの間にたくさんの争いがおこりました。
キリスト教の博愛の精神からすれば、当然、後から来た連中は、
先に住んでいる人々と折り合いをつけ、お互いを尊重して、
共存するのが当たり前ですが、「西部劇」での勧善懲悪は、
常にインディアンが悪者で、開拓者たちが善人として描かれています。
このような過去のいきさつのなかから、西部劇も変遷し、
ベトナム戦争時代に、開拓者たちの無謀を告発するような西部劇が
登場し、折からの公民権運動(人種差別撤廃運動)と連動するような
かたちで西部劇の黄金期は消滅したように思います。
日米両国、ともに民衆に受ける時代劇を持っていると思います。
その劇も時代とともに変遷します。しかし、その根底の価値観は、
美しく、私たちの歴史が続く限り、残っていてほしい。
私は強く、そのように思います。

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