日曜コラム 養蜂と寮生活―Suffield Academy季刊誌より
アメリカ、コネチカット州にあるランク4のボーディングスクール、
Suffield Academyから年に2回発行の季刊誌Suffield が送られてきました。
その中でLife of Beesという興味深い記事を見つけました。
1996年にSuffield Academyを卒業したJonathan Medwidさんによって
書かれた記事ですが、主人公は今年の卒業生、ジェイク君です。
彼のSuffield Academyでのビーキーパーすなわち、養蜂家としての活動を
人類の食の未来と絡めてとても興味深く綴っています。
ジェイク君曰く、
Nothing about managing bees is easy, and all of it is crucial to our survival.
どうして、私たちの生存とミツバチが関係するのでしょう。
アメリカではBeepocalypse、Beemageddonなどの造語が作られているようですが、
ミツバチが注目すべき価で減少しつつあるのだそうです。
今月、19日のブログで取り上げた「ミツバチの減少、自然との共存」で
述べましたが、ジェイク君もアメリカで問題視されているミツバチの減少の
原因は農薬とミツバチに寄生する害虫だとしています。
それらが直接、ミツバチを殺すのではなく、ミツバチの巣、すなわち
彼らの社会秩序を容易に機能不全にしてしまうというのです。
If the bee disappears from the surface of the earth, man would have no more than four years to live.
これは、“The World’s Only Perfect Food and Royden Brown’s Bee Hive Product Bible”という本のなかで、著者のロイデン・ブラウンさんが、「青い鳥」で有名なベルギーの劇作家メーテルリンク(Maurice Maeterlinck)のThe Life of Beeから引用したものです。植物を受粉させる自然の蜂、蝶などの昆虫が減少しつつあり、
この傾向が続けば私たちの食物供給が途絶えるという強烈なメッセージです。
ジェイク君はSuffield Academyの一年生の時、アメリカ東部の博覧会、
Big Eに参加してミツバチの養蜂に興味を持ち、2年生の時に学校で
養蜂にチャレンジして成功し、3年間それを継続しました。
その功績が認められ、彼は学校から第183回、ロビンソン環境賞を受賞します。
ボーディングスクールでの生活は決してのんびりとしたものではありません。
授業、スポーツ、自習、芸術・音楽活動など、一日のスケジュールは明確で、
養蜂をそれに組み入れることは相当な自己の意識が高くないとできません。
彼は、養蜂に対して、そのユニークさと独自性を感じて始めたと言います。
結局は、それが自然環境保護や人々の食生活にまで発展していくのですが、
その彼は、Boston Collegeへ進学するそうです。
Suffield Academyでの4年間、彼はミツバチと出会い、彼らを育て、
そこに相互の信頼と尊敬(respect)を見出したとも言っています。
忙しい学校生活のなかで、自分の好きなことを追求することが、
彼の人格を形成するうえで、素晴らしい核を作ったと私は思います。