留学コンシェルジュ

英語学習に見る日本の教育と英語圏の教育の違い

先日、たまたまインターネット上で目にした記事についてまずは触れていきたいと思います。

鳥取県で小学校での正式教科となった英語の指導できる教員を積極的に採用するという目的のため、「実用英語技能検定検定準一級」「TOEIC730点」などの条件を満たす人に対して、複数の実技試験を免除、適性検査と面接のみの選考で採用する優遇処置をとるというものでした。その理由として英語を教えられる人材の確保に向けての争奪戦が激化しているからという論点の記事です。

私のMBA同期とこの話題についておおいに盛り上がりましたので彼らの意見も取り入れながら今回のブログを書き進めたいと思います。

まず、この鳥取県の取り組みは非常に素晴らしい取り組みである事は言うまでもありません。既存の仕組みとは違うアプローチをする事で今まで量産されて来た人材とは異なる人材の確保をするという試みを県として行うという事は革新的な取り組みではないでしょうか。

一方でこのTOEIC730点という点数だけを見てみるとこの点数は一般的な国際的企業においては決して高いレベルではなく、むしろこれから留学に行かせる人材の足切りのための下限に極めて近い点数である事を国際的な企業の人事部で働く同期は指摘をしていました。この点数の場合はアカデミックなレベルで言うと、多分論文などを正確に読み理解する事は難しいレベルとなります、そして英会話においてもスムーズに会話についていけるレベルでなくても取れる点数であるといえます。しかしながら、小学生の段階で英語を取り入れる当初の目的は文部科学省のウェブサイトではこのように定義されています。

  1. 小学校段階では、音声を柔軟に受け止めるのに適していることなどから、音声を中心とした英語のコミュニケーション活動や、ALT(外国語指導助手)を中心とした外国人との交流を通して、音声、会話表現、文法などのスキル面を中心に英語力の向上を図ることを重視する考え方(英語のスキルをより重視する考え方)
  2. 小学校段階では、言語や文化に対する関心や意欲を高めるのに適していることなどから、英語を使った活動をすることを通じて、国語や我が国の文化を含め、言語や文化に対する理解を深めるとともに、ALTや留学生等の外国人との交流を通して、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、国際理解を深めることを重視する考え方(国際コミュニケーションをより重視する考え方)

(出典)文部科学省:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1379940.htm

英語を学ぶ本来の楽しさを小学生段階の生徒たちに体験をさせることが小学生段階から英語教育を取り入れることが目的なのであれば、TOEIC730点というレベルは文部科学省が期待する授業を提供できるレベルの前段階のレベルであると考えられます。すなわち、英語の楽しさを教えるべき先生のレベルがそれに達していない可能性がある訳です。

また、そもそもの話としてTOEICで英語力を測ることができるのか?という疑問もここでは残ります。しかしながらこの議論は今回のブログのタイトルから話が逸れてしまうので、今回はこれくらいにしておきましょう。

このケースから私が伝えたい事は、日本の教育においてはこのように定量的に測ることのできる数字的な指標があたかも全てのようになってしまうことが多くあるように感じるという事です。勉強、学習の目指すところが「高得点」でありそれが中学受験、高校受験、大学受験、そして今回のTOEICとその系譜が年代が上がるとともに脈々と受け継がれています。これ自体は決して悪い事ではないと私の同期の人事部担当は言います。「与えられた課題を正確にスピーディーこなす事」これも一つの技術であり成果だからです。

しかしながら、「高得点を取る事」をゴール設定にした教育はテクニックや効率に走り結果的に本来の意義を失わせてしまうことが多々あります。事実、TOEICのテストの高得点者が実際には英語が話せないという事態は枚挙にいとまがありません。

一方で、私の専門であるボーディングスクールの教育を見ていきましょう。彼らはほとんどの授業では暗記など行われません。暗記の代わりに盛んに自らの意見を他の生徒たちと戦わせています。意見を戦わせるためにはそのテーマについての幅広い理解が必要となります。その過程ではもちろん暗記作業は発生しますが、暗記が目的ではなく、あくまでもテーマについて理解をして議論を戦わせることができるまで知識を蓄え、自分の意見へと昇華していくことに目的が置かれます。結果的に試験についても試験のための勉強は「暗記」ではなく「理解」のための試験ですから、日本的に得点を取るためのテクニックや効率化は勉強の目的にはなり得ないのです。自ら考えて、自らの意見を発言できること、その正しさを証明するために幅広いソースをもとに学習をすること。これこそが欧米スタイルの学習であると考えます。

TOEICの話に戻りますが、私の持論として英語を包括的に学習(英文法だけではなく、英語の関わる総合的な体験や経験を含む)した結果としてのTOEICの点数が730点であったのであれば、その先生が教える英語の授業は自らの経験や知識に基づく素晴らしい授業になるでしょう。また、それに加えて、留学カウンセラー採用の際に私は必ず聞く質問でもありますが、「留学、海外経験における失敗談、成功体験」を自らの豊かな経験を元に話す事ができる事、これをぜひ採用試験の項目に加えてもらいたいと思います。これこそ、生徒たちが最初に抱えるであろう「なぜ英語を勉強しないといけないのか?」「英語はなぜ必要なのか?」という学習をするに当たっての根本的な疑問に対する答えになると考えるからです。

 

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