留学成功の秘訣。 知らずに行くのと、知って行くのでは大違い!? Self-Adovocacyとは?
とても幸いなことに、留学コンサルタントという立場上、アドミッションスタッフやボーディングスクールの教師たちと触れ合う機会がとても多くあり、教育に関するアップデートについては事欠きません。先日のChoateのレセプションも一つのケースです。直接的に彼らボーディングスクールのHead of SchoolやAdmission Directorから話を聞くことで彼らが教育に対して何を求めているのか? 日本人留学生に何を求めているのか? 今後の教育のあり方をどのように考えているのか? 色々と示唆に富んだ話を聞く事が出来るので、彼らとの対話は私自身にとって非常に有意義な時間です。
そして今回、その対話の中で必ずと言って良いほど出てくる言葉であり、我々日本人にとってはなかなか理解のし難いこの言葉について話をしていきたいと思います。
Self Advocacy
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、皆さんはご存知でしょうか?
セルフアドボカシー、日本語で検索をすると「学習障害」とセットで出てくる事が多いのですが、今回の私のブログは留学生に向けたブログなので「英語の定義における、日本から留学する学生に向けたメッセージ」という範囲で捉えてもらいたいと思います。
この言葉は、日本語に直訳する事が出来ないので、カタカナ英語にもなっていないように思いますし、日頃からこの言葉の意味を考えながら生活している人はあまりいないでしょう。
早速、今ではボーディングスクールでさえ活用するChat GPTに聞いていみました。
“What is self advocacy?”
“中略、 Self-advocacy empowers individuals to take an active role in their own lives, ensuring that their voices are heard and their rights are respected.”
要約すると、「自分自身のより良い生活のために、自分の要望を積極的に相手に伝える事」
なんとなく意味合いは掴めたでしょうか?
ここからはなぜ、この言葉が特に我々日本人にとって、これから留学を考える、特に日本の文化で育ってきた子どもたちにとって、より重要な意味合いを持つのか? その部分に焦点を当てて少しだけお話をしていきます。
我々日本人はまず面と向かって相手に対して「こうして欲しい!」と伝えることに抵抗感を持つようです。特に人間関係において対等もしくは目上の人に対してはその傾向が強く見られます。一方でこれが「顧客」と「サービス提供者」の関係性となると全く異なる景色も見えてきます。
私は留学コンサルタントとしてお子様の年齢以外の社会人の留学のサポートをしている時期も以前にはありました。その経験も含めて振り返るとこの傾向には年齢差は関係が無く、日本の文化的背景によるところが大きいようです。
日本の環境で育っていると、どうしても「自分の事は後にして、周りに合わせる」という振る舞いをしてしまう事が多くなります。そうすると、その他大勢がやっている事に合わせることになります。そこには主体性はなく、たまたま自分の意見や行動が、その他大勢の意見や行動に合っていれば良いのですが、そうで無い場合は「自分を抑えて」周りの行動に合わせることになります。
特に短期留学などではその結果は顕著に現れます。
以前はこんな問合せをいただく機会がとても多くありました。
「(帰国後に)実は留学中にうちの子が〇〇な事があったみたいでとても困っていました」
「子供が困っているようなので、関根さん、代わりに先生に話してもらえませんか?」
上記はほんの一例ですが、よく見られる光景です。我々としては勿論、詳細をヒアリングした上で必要となれば対応をしますが、よくよく聞いてみると生徒自身が一言、先生やプログラムスタッフに伝えるだけで、感覚値ですが90%以上のこのような相談は解決します。
それではなぜ、このような事が(結構な頻度で)発生するのか?
それはSelf Advocacyが出来ていないからです。
欧米圏においては特に口頭で意見を述べる事が大事になります。日本では以前、「お・も・て・な・し」が流行りました。
人の心を慮って、先々のことに配慮するという成熟したコミュニケーションは素晴らしい日本の文化ですが、残念ながら欧米圏においては人の心を慮る気持ちは存在するものの、それを享受するためには相手に「言葉で」伝える必要があります。
自分の言い分を相手にしっかりと伝える、そこから自分にとってより良い状況を自ら手で手に入れる。これがSelf Advocacyの言葉の真髄です。
ボーディングスクール留学の素晴らしいところは、生徒たちのポテンシャルに合わせてそれこそ青天井とも言って良いほどのチャンスが与えられるところにあります。ところが、自分の内に秘めた、熱意、興味、強い意志、などは外からはなかなか見え難いものです。そしてそれを慮って、先回りして道筋を整えてくれる事はボーディングスクールの文化には、残念ながらありません。
「○○ちゃん、○○君、あなたは静かにしているけど大丈夫? やりたい事があったら先生聞くから話してごらん?」という状況はカウンセリングやアドバイザーの時間を改めて取らない限りほぼないと考えてください。
しかしながら、Self Advocacyの精神で「先生!私はこれをやりたい!」「私を00の方向へ導いてください!」と積極的に伝える事が出来たのであれば、彼らは全身全霊であなたのことを慮ってくれます。これこそが欧米流のおもてなしであり、それを享受するために日本文化で育ってきた我々が身につけるべきもの、それがSelf Advocacyです。
私の面倒を見ている生徒たちにはこの精神もしっかりと身につけてから留学をしてもらうように指導をしています。