ニュージーランド留学 - ESOLクラス
ニュージーランドでは留学生のための英語クラスをESOLと呼びます。English for Speaker of Other Languagesを省略したものです。英語圏のいずれの国においても日本からの中学、高校留学生の初年度はこの英語クラスが大きな役割を果たします。ダニーデンにあるBayfield CollegeでESOLクラスを聴講することができました。留学生の英語学習の実際をご紹介したいと思います。
私が聴講したESOLのクラスを一言でいうと「考えさせる」クラスでした。その根本は「覚えさせる」クラスではありません。
授業の長さは50分、生徒数は11人、その人種構成はほぼ半数が中国からの留学生です。その他には、タイ、台湾、マレーシア、日本などアジア系で、ヨーロッパからの生徒はいませんでした。
先生が生徒に最初に指示したことは、スピードリーディングでした。時間を計って英文の読解に取り組む作業です。ひとり一人の生徒が、与えられたプリントを目で追って、時間を計っています。沈黙の作業が15分ほど続きました。
次のテーマはグローバル・イシューでした。先生によるとこのテーマは4週間をかけて生徒に取り組ませているのだそうです。先生がホワイトボードに以下のことを書きました。
*Present your definition of 2 Global Issues to the class(pair)
*Discuss and ask questions
*Read task sheet for Global Issues assignment (assessed)
Why are we learning this?
(Vocabulary)
(Thinking)
(Talking)
(Researching – important)
What is it?
Where is it?
Who does it affect?
What will happen if it gets worse?
11人の生徒のうち、2人はクラスに参加していません。ESOLの部屋を借りて、自分の課題を学んでいるようです。先生に確認したところ、彼らは英語レベルの違いがありメインのESOLクラスでなくて、自主学習という形でこの教室にいるのだそうです。
さて、残る9人のうち、7名が男子生徒、2名が女子生徒でした。
クラスをリードしている先生ですが、グローバル・イシューについての講義は全くしません。その代わり、問題提起として、経済、文化、社会、自然などの大きな分野でのグローバル・イシューを示し、ペアを組んだ生徒たちに何をテーマとして取り上げるかを決めさせました。
それをもとにして、
*生徒がとりあげた問題を「定義」をさせますが、彼らは自分のテーマに従って、プレゼンを意識して、発表のための表を作成しました。そこで、先生が聞き手に回り、プレゼン者に下記の突っ込みをします。
・それは何ですか
・どこで起こっているのですか
・それは何に影響しているのですか
・それが悪化すると何がおこりますか
ESOLクラスですから、生徒たちは一応に英語にハンディーを持っています。その生徒たちをいかにして発言させるか、間違ってもいいから、発表するという意欲と勇気を喚起するために先生は一所懸命に彼らを誉めたり、鼓舞したりします。
中国からの生徒が人口問題を取り上げました。それが悪化したら人類は滅亡すると彼は結論づけました。
すかさず、先生は「皆はどう思う」と聞きます。
ある生徒は、「宇宙に移民する」と言います・
「どこに行くの」と先生、「月です」と生徒。
正解は一つではないということを先生は言いたいのではないかと思いました。そして、考える→調べる→根拠を固める→追求する→確信する、というような自分で学習する手順を覚え込ませたいのではないかとも思いました。
あっという間に1時間の授業が終了しました。