日曜コラム 90歳のサイクリスト
早朝の公園で簡単な運動を始めて10年ほどになります。
そこに集まるアスリートの人たちはみな個性的です。
毎朝、道に落ちているごみを拾って歩くボランティアをしている人、
懸垂、腹筋運動、ストレッチのサイクルを3回きっちりこなすおじいさん、
ゴルフクラブを持参して、運動、ストレッチ、素振りをする人、
早期退職で運動不足解消のため早朝散歩のついでに寄る人など、
いろいろな人と朝の挨拶をし、時間のある時に雑談を楽しんでいます。
以前にも日曜コラムでご紹介したのですが、公園仲間の一人に、
ナカムラさんという人がいます。ある日、早朝公園のレギュラーメンバーの一人が、
「昨日、ナカムラさんは70キロ自転車で走ったそうだよ」
―70キロとはまた相当な距離ですねぇ・・・。
「健康のため、毎日20キロくらいは自転車で走っているみたい」
―それは、すごいですね。ナカムラさんもう80歳になるんじゃないですか
「90歳ですよ。さきの戦争にも参加されたそうですよ。
―エー、90歳であの元気ですか。信じられません。
一体、ナカムラさんの元気のもとは何かと私は真剣に考えます。
90歳にして、姿勢がよく、かくしゃくとしていて、いつも笑顔で、滑舌良く話し、
そして、毎日、自転車をこいでいる。
あの活力はどこから生まれるのでしょうか。
ナカムラさんのエネルギー源は、よく笑うことではないかと思います。
基本的にいつもニコニコとしていて、長いセンテンスを彼は話しません。
そして、冗談を良くいい、笑います。
戦争体験を経ているわけですから、相当なご苦労もされたと思います。
しかし、ナカムラさんは早朝の公園では、苦労話をされることもありませんし、
暗い顔も絶対にありません。
つねに、ポジティブであり、プラス思考であり、いろいろなことに興味を持ち、
人との会話を楽しんでいるご様子です。
90歳になっても、ナカムラさんはお仕事をしているようです。
ナカムラさんは仕事の愚痴などは言いません。
いつか、ナカムラさんと一緒に自転車で武蔵野を走り、
彼の戦争体験などを聞くことが出来たらと私は思います。
ナカムラさんにはぜひ、100歳、100キロのサイクリストになってほしいと思います。